【商いのコト】“本場ベトナムの味”をお客様に届ける ― イエローバンブー

成功も失敗も、すべては学びにつながる。ビジネスオーナーが日々の体験から語る生の声をお届けする「商いのコト」。

つなぐ加盟店 vol. 33 イエローバンブー 南雅和さん

本場ベトナムの味を日本の人にも知ってもらいたい。
その想いをとことん追いかけ、勤めていた会社を退職し、ベトナム料理レストランをオープンした人がいる。東京・霞ヶ関にあるベトナム料理店「イエローバンブー」の南雅和さんだ。

一見シンプルに見える南さんの想いだが、実現は簡単ではない。お店の立ち上げから経営者としての試行錯誤まで、南さんにお話を伺った。

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日本人の多くは、本場の味を知らない

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ベトナム料理は日本でもファンが多く、全国には数多くのベトナム料理店がある。しかし、南さんに言わせると、日本にある大半のベトナム料理店が提供しているのは、日本人の舌に合わせた料理なのだそう。

「味付けは、どちらかと言うと和風になっているものが多いですね。せっかくお客さんがお金を払ってベトナム料理を食べに来ているのに、わざわざ味を変える必要はないと思うんですよ。というのも、もともとベトナム料理は、タイやマレーシアなど他の東南アジアの料理と比べて香辛料が控えめなので、日本人には食べやすい。味を変えて提供する店があまりに多いから、本場のベトナム料理の美味しさを知らない日本人も多いんじゃないですかね。」

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以前は建設会社に勤めていた南さん。当時は仕事の関係でベトナムに長く滞在していたそう。現地では屋台によく足を運んでいたが、帰国時に日本のベトナム料理店を訪れた時に、ベトナム料理本来の良さが失われた味に不満を覚えたという。

「『これはベトナム料理じゃない!』と思いました(笑)。もともと料理をすることが好きだったこともありますが、ベトナム本場の味を日本人に知ってもらいたいという想いが強くなり、自分で店を開くことに決めたんです。」

南さんは飲食店を経営したことがなかったため、建設会社を退職し、接客や仕込み、厨房の導線設計、肉や野菜の発注の仕方に至るまで、1つひとつ丁寧に学んだ。7年の準備期間を経て、東京・大田区に『イエローバンブー』をオープン。店名には、「どんなに厳しい環境でも、竹のようにまっすぐ伸びていこう」という思いが込められており、霞が関に店舗を移した今でも、そのコンセプトは変わっていない。

経営者だからこそ、不安は尽きない

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南さんは店をオープンするにあたって、女性100名に事前にアンケートをとった。内容は「一般的なベトナム料理店が提供している料理の量や値段に対して、どんな印象を持っているか」というもの。

「『量が多く、食べきれない割に値段が高い』と回答する人が多かったので、量を少なくして、値段も量に見合うものにしました。お客様にできるだけたくさんの種類の料理を食べてもらいたいと思ったからです。」

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アンケート調査の甲斐があり、同店に来店するお客様の中には、「本当にこの値段で合ってますか?」と会計時に口にする人もいるほど。味に加えて、ボリュームや値段にもお客様が満足感を覚えているからこそ得られる言葉だろう。しかし、南さん自身が経営者として満足することはないという。

「『自分が作る料理の味にお客さんは満足しているだろうか』『納得してお金を出しているのだろうか』と、いつも不安で仕方ありません。お店を開いて7年ほど経ちますが、不安な気持ちは変わらないですね。

『経営はつらいだろうな』と頭では分かっていたつもりでしたが、実際にやってみると、想像以上のつらさですよ(笑)。」

南さんは笑いながらそう語る。サラリーマン時代は、自分の仕事をきちんと終わらせればよかったが、今は経営者として店の将来のことや従業員のことを考えなくてはならず、常に頭は不安だらけだという。

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(つなぐ編集部)
写真:小沼祐介