【商いのコト】はじめは2人きり、今は共感してくれた仲間がいるーsenkiya

成功も失敗も、すべては学びにつながる。ビジネスオーナーが日々の体験から語る生の声をお届けする「商いのコト」。

つなぐ加盟店 vol. 43
senkiya 高橋秀之さん、高橋雅子さん

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自分たちの思いに共感してくれる人とともに商いによって、地域に“人が集まるまち”を作る。そのような強い思いを持ち、埼玉県川口市で商いをする夫婦がsenkiyaの高橋秀之さんと妻の雅子さんだ。

実家の母屋を改装してカフェや雑貨店を営む高橋さん夫婦。二人の価値観に共感し、敷地内には革小物の工房や観葉植物屋などさまざまな商いを営む人たちが集まり、地域を盛り上げている。

前編では、秀之さんがsenkiyaを始めたきっかけや、現在のかたちに至るまでの道のりを紹介した。後編では、高橋さん夫婦が直面した困難や商いの楽しさ、そして今後の展望を紹介する。

前編はこちら

はじめは周囲の理解を得るのが難しかった

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「senkiyaを始めた当初は、自分たちがやろうとしていることが周囲になかなか受け入れてもらえませんでした。『本当にお客さんは来るの?』とか『道楽だよね』といった冷ややかな声も多くて。『若い夫婦が変なことを始めたみたいだぞ』と思われていたんでしょうね……(笑)。」

そう語るのは、妻の雅子さん。“人が集まるまち”を作るという高橋さん夫婦の試みは、その新しさが故に抵抗を感じる人が多かった。特に川口の中で新町と呼ばれるこのエリアに昔から住む人にとっては、「慣れ親しんだ地域が良くない方向に変わってしまうのではないか」という不安があったのかもしれない。

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「自分たちが目指している世界は新町にとって良いものであるはずなのに、それが地域の人たちに受け入れてもらえないと知ったときはとても悲しかったし悔しかったです。『見返したい』。心の中で焦る気持ちもありましたが、senkiyaを長く続けて少しずつ思いを伝えていくことにしました。」

高橋さん夫婦は、来店したお客様に『なぜsenkiyaをはじめたのか』という思いや考えを話すようにした。すると、思いに共感したお客様が周囲に話をしてくれるようになったという。一歩一歩はとても小さい。しかし、着実に前進していた。ある日、お客様だった一人の男性から『一緒にやらせてくれませんか』と声をかけられた。

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「声をかけてくださったのは、当時大手の企業に勤めていたお客様でした。私たちの思いをよく理解してくださっていた方だったので、本当に嬉しかったですね。私たちも初めて人を雇うとあって、『お金の面の保証はできないですが、大丈夫でしょうか……?』と何度も確認してしまったのを覚えています(笑)。」

男性には、地域や若手作家の作品を発信する『gallery tanabike』を始めてもらった。今ではsenkiyaから独立し、一人のオーナーとして作品の販売会や展覧会などさまざまなイベントを企画している。今ではこの男性のように、高橋さん夫婦の想いに共感した人がオーナーとなったショップが増えたのだという。

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「今でこそ来てくださるお客様から『いろいろな店で賑わっていて素敵な場所ですね』と言っていただけるようになりましたが、昔の状況からは考えられませんでした。senkiyaに対する思いを地道に伝えた結果が実った瞬間として、彼が一緒に働きたいと言ってくれたときのことは決して忘れられません。」

スタッフを含めた全員で、“senkiyaらしさ”を作る

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高橋さん夫婦に『商いをしていて一番楽しい瞬間は』と聞くと、口を揃えて『お客様と喋っているとき』という答えが返ってきた。秀之さんはスタッフも同じような気持ちで働いていると語る。

「僕たちだけでなく、senkiyaで働くスタッフはみんなお客様と喋るのが好きなんです。以前、黒木というスタッフに『どういうときが楽しい?』と聞いたことがありました。そうしたら『黒木綾乃になる瞬間が楽しいです!』という答えが返ってきたんです。たとえば、『ブローチが可愛いですね』とお客様から声をかけられたら、senkiyaのスタッフとしてではなく黒木綾乃として返事をする。それが楽しいと。一人ひとりのスタッフが個人としてお客様に愛していただけているのは、このような気持ちでお客様と接しているスタッフが多いからなのだろうなと思います。」

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▲カフェのスタッフの黒木綾乃さん

senkiyaのスタッフは、一人ひとりがお客様から感謝の手紙をもらうことがあるという。スタッフがお客様との会話を心から楽しんでいるからこそ、お客様からも好かれているのだろう。senkiyaの持つ空気感は、高橋さん夫婦2人だけではなくスタッフも含めた全員で作り上げているものだと分かる。

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▲お客様からもらったはがき

秀之さんは夫婦の関係についても語ってくれた。

「ジブリに出てくる男の子と女の子の関係に似ていると思います。ジブリの男の子って、少しおばかなことをするじゃないですか(笑)。僕がまさにそう。イベントを開催するとなったら、普通のイベントでは面白くないから変わったことをやりたがるんです。時として暴走してしまうこともあります。妻は強くてしっかり者。僕のことを『ばかだなあ』と思いながらも優しく見守ってくれる。良いバランスになっていると思っています。」

自分の住むまちが楽しくなればいい

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「今は当初思い描いた半分程度しか実現していない、というところでしょうか。僕たちの思いに共感してくれるメンバーが集まってきたことが、これまでにできたこと。これからやっていかなきゃいけない残りの半分は、各々を強くすること。senkiyaとしてではなく、一つひとつのショップが雑誌の『カフェ特集』や『観葉植物店特集』といった特集に単独で掲載されるように、発信力を強化していかなければなりません。」

現状の課題についてそう語る秀之さん。黒磯にあるカフェに魅せられ、自らが住む川口にも“人が集まるまち”を作りたいと一念発起。ここまで妻の雅子さんと二人三脚でsenkiyaを育ててきた。

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秀之さんは、今後はsenkiyaがある通り沿いを楽しいことが生まれる場所にしたいとも語る。

「みんながみんな、地域おこしをしたいわけではないと思うんです。あるのは、自分たちが住むまちが楽しくなればいいなという思い。それが結果として地域おこしにつながるのではないでしょうか。新町に住む人たち自らの手で、楽しいまちを作っていきたいですね。」

はじめは周りの理解が得られず、苦しい思いをした高橋さん夫婦。しかし、思いを一人ひとりに伝えることによってその思いが伝播し、大きなうねりになろうとしている。新町に“人が集まるまち”ができる日は、そう遠くない未来かもしれない。

前編はこちら

senkiya
埼玉県川口市石神715
Tel : 048-299-4750
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(つなぐ編集部)
写真:小沼祐介


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