【商いのコト】特集:ペンションを舞台に受け継ぐ親子のバトン ー B&B テンガロンハット(前編)

成功も失敗も、すべては学びにつながる。
ビジネスオーナーが日々の体験から語る生の声をお届けする「商いのコト」。4回にわたり、家族でペンションを経営されている方々をご紹介します。親から子へと受け継がれていくバトン。地域やお客様、家族に対する思いや彼らの生き方は、きっと私達にもヒントを与えてくれるはずです。

第1回:【商いのコト】特集:ペンションを舞台に受け継ぐ親子のバトンーウィークエンドシャッフル(前編)
第2回:【商いのコト】ペンションを舞台に受け継ぐ親子のバトンーウィークエンドシャッフル(後編)

つなぐ加盟店 vol. 39
B&B テンガロンハット 

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家族と共に地元でペンションを経営している方々を紹介する特集。今回は、長野県・乗鞍高原にあるペンション『B&B テンガロンハット』のオーナー・宮下了一さんと妻の理恵さんにお話を伺った。

前編では、宮下さん夫婦が33年前にペンションをはじめたきっかけ、そしてお客様に満足してもらうためにしたさまざまな工夫を紹介する。

後編はこちら

25歳で始めたペンション

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夫の了一さんがペンションをはじめたのは、今から33年前。
地元を出て、東京で働いていた了一さんは、将来の結婚や子育てを考え、自然豊かな田舎に戻りたいと思っていた。

「僕は高校時代から、休みを利用して旅館やスキー場のロッジに住み込みで手伝いをしていました。“宿”は自分にとっては身近な存在でしたね。でも、まさか自分が経営する立場になるとは思ってもいませんでした。」

そんな了一さんに、ある日転機が訪れた。白馬にあるペンションに宿泊したときのこと。楽器が置かれた共同スペースで、突然セッションがはじまったのだ。

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「オーナーやスタッフ、宿泊しているお客さんが一緒になって楽しんでいる姿が印象的でした。『一緒にどうだい?』と声をかけられ参加してみたら、とにかく楽しかった。みんなが一緒になって楽しめるような空間を作りたいと、その時思うようになったんです。」

その後、了一さんは地元の近くにあるペンションで2年間オーナー代理として経験を積んだ。『B&B テンガロンハット』をオープンしたのは、了一さんが25歳の時だった。

「お世話になったペンションのオーナーさんがとてもいい人で、『今ちょうどペンションのブームが来つつあるから、もしペンションをやりたいならできるだけ早くやったほうがいいよ。歳をとってからやるにはしんどい商売だしね(笑)』と後押ししてくださったのが大きかったですね。僕はまだ25歳でお金もなかったので、父と銀行からお金を借りてペンションをはじめることにしました。」

面白そうなことはやってみる

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「私はもともとスキーが好きで、この人が手伝っていたペンションに泊まりに行っていました。ある日『今度自分でペンションをはじめるから手伝ってくれないか』と頼まれ、『いいよ』と言ったのがはじまりです。まさかこんなに長く手伝うことになるなんて…(笑)。最近はよく『もうしんどくなってきたから辞めさせて』とお願いしているんですけど、なかなか許してくれないんです(笑)。」

そう冗談交じりに語るのは、妻の理恵さん。B&B テンガロンハットは、33年間夫婦が共に支え合いながら成長してきた。オープン当初、月末の返済に毎月苦しんでいた宮下さん夫婦は、ペンションに人を呼び込むためにさまざまな工夫を凝らしたという。

「昔は若いお客さんが多かったのですが、客層が家族連れ中心に変わりつつあるタイミングがあったんですよね。当時小さい子どもを積極的に受け入れるペンションはあまりなかったので、『ここが勝機だ!』と思い、家族向けにかじを切ったんです。子どもが遊べるキッズルームを作ってファミリーで来やすくしたら、口コミがどんどん広まっていきました。“家族で行くならテンガロンハットに”というイメージがお客さんの中で定着し、リピーターが増えていったのが分かりました。」

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それまでの方針をガラリと変えるのは、とても勇気の要る決断だ。しかし時流を捉えてその決断をすることは、世の中の変化に順応しペンションを長く経営するために必要な力だろう。

「マウンテンバイクがまだ日本であまり知られていなかった頃、『絶対に流行る』と見越して、100万円をかけて20台購入したことがありました。1回2時間のレンタルサイクルをはじめてみたらびっくりするほどの人気で、常に予約が埋まる状態になったんです。他にも、チーズフォンデュを提供したらお客さんが喜ぶんじゃないかと思い、チーズフォンデュのランチパックをレンタルサイクルにつけてセット価格5,000円で売ったら、飛ぶように売れたこともありました。何でも面白そうなことはやってみるものだなと思っています。」

この2つのエピソードからも、宮下さん夫婦の思い切りの良さが伺える。しかし、行動が必ずしも成功に結びつくわけではない。妻の理恵さんは、過去の失敗についても語ってくれた。

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「夜は居酒屋みたいにしようと思って、メニューの中からその場でお客さんに頼んでもらう形式にしましたが、大変でした。外国人のお客さんは特に夕食の時間が遅いから、毎晩夕食を作り終えるのが23時過ぎになってしまって、本当に辛かったです(笑)。でもそのおかげで、外国人は旅行先でもピザやカレーみたいな家庭的なメニューを喜んで食べてくれることが分かったので、いい学びになりました。」

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失敗を恐れないからこそ、成功することができる。時代の流れを素早く察知する力と、アイデアを実行に移す行動力が経営には大切だと、宮下さん夫婦は教えてくれた。

後編では、3年前にバウムクーヘン屋『ヤムヤムツリー』をはじめた理由、そして乗鞍高原に対する宮下さん夫婦の思いを紹介する。

後編はこちら

B&B テンガロンハット
390-1520
松本市安曇4306-8
TEL:0263-93-2360
FAX:0263-93-2144

(つなぐ編集部)
写真:小沼祐介


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