個人事業主として気になる、法人成りのタイミング

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事業がお客様に支持され軌道にのり始めると、事業の法人化が視野に入ってきます。

今回は、事業を法人化することを検討している個人事業主を対象に、法人成りとは何かからはじめ、法人成りに適した時期、法人化のための手続きについて説明します。

法人成りとは

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「法人成り」とは、個人事業として営んできた事業を法人化することです。「法人」とは何なのか今一度確認してみましょう。法人とは法律で「人」とみなす人間以外のものです。企業のような同じ目的のもとに集まった人の集団を法律上の「人」とみなすことで、権利と責任が生まれ、法人を構成する人員個人と法人の財産などを切り離して扱うこともできます。

法人というと株式会社を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、株式会社以外にもさまざまな法人の形態があります。個人事業を法人化する際の選択肢としては、株式会社や合同会社が多いです。構成員の責任範囲などは法人の形態によって異なりますが、事業を法人化するとお客様や取引先などから社会的な信用を得やすくなる、経費とみなされる範囲が広くなるといったメリットがあります。また、所得や売り上げによっては税金面でも法人成りするメリットがあります。

法人成りに適した時期

どのようなタイミングで個人事業から法人成りするのがよいのでしょうか。所得や売上高から法人成りに適した時期が見えてきます。

法人成りのメリットとして、社会的な信用が得やすくなるだけでなく、場合によっては税金の面で個人事業主として事業を営むよりもお得になることがあります。個人として事業を行う場合、収入から必要経費を引いた事業所得を計算し、ここから基礎控除をはじめとする控除を差し引いた課税総所得金額に所得税、住民税、復興特別税が課税されます。現在個人事業主の人は、確定申告や税理士とのやりとりでこれらの税金について見聞きしたことがあるという人も多いでしょう。

知っておきたいのは、所得税率は課税総所得金額によって、5%から多いと45%にものぼることです。住民税と復興特別税の税率はそれぞれ所得税額の10%と2.1%と固定ですが、所得税が累進課税のため、課税総所得金額の多い人は住民税と復興特別税もより多く納めなければなりません。

法人の場合、所得に対して国に収める法人税や、地方自治体に収める法人事業税、法人住民税などが課税されます。法人税については2016年、2018年に改正があり、事業の開始年度によって税率が異なりますが、800万円までの所得に対しては19%、それを超える部分に対しては23%強となります。法人税の税率について詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。

参考:No.5759 法人税の税率(国税庁)

法人事業税や法人住民税については、納税先の地方自治体によって異なります。重要になるのは個人事業の所得は累進課税ですが、法人の実効税率は30%前後でほぼ固定されている点です。

そのため、所得が一定以上になると、個人事業として事業を続けるよりも法人として事業を営む方が税率を抑えられるので、法人成りが視野に入ります。

また、消費税の観点からも法人成りにはメリットがあります。個人事業主の場合、2年前の課税売上高が1,000万円を超える、または前年前半の課税売上高が1,000万円を超える場合に消費税の納税義務が発生します。一方、法人の場合は前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える、または前事業年度の前半6カ月の課税売上高が1,000万円を超える場合に消費税の納税義務が発生します。

法人成りすることで個人事業主から法人という別人格となり、新しく設立された法人では前々事業年度と前事業年度の課税売上高が存在しないため、結果、消費税の支払いの先送りにつながります。消費税について詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。

参考:消費税のしくみ(国税庁)

このように、所得と売上高の観点からは、個人事業主としての税率が法人の税率を上回りそうだ、消費税納税の義務が発生しそうだというタイミングが法人成りを検討することが多いようです。売上高が1年の中で大きく変動する業種の場合は年内のどの時期に法人成りするかでも大きな差が出かねません。

具体的な数字や1年のどの時期に法人成りするのがよいかは、個人事業主の事業の状況などで異なります。まずは情報を集めたいというときには、インターネット上の体験談も役に立ちますが、特に税制を知る上ではまず国税庁のウェブサイトの関連する項目に目を通すのが有効です。その上で真剣に法人成りを視野に入れる場合には、会計士や税理士といった専門家に相談してみるとよいでしょう。

法人成りで注意したいこと

一定の所得や売り上げのある個人事業主は法人成りによって節税効果を期待でき、さらに社会的信用が向上し、経費として認められる範囲も個人事業主と比べて広いなど、法人成りにはさまざまなメリットがありますが、注意しなければならない点もあります。

独立行政法人中小機構による中小企業ビジネス支援サイトには、個人事業主から法人成りした場合のデメリットを回答したページがあります。

参考:Q0017.個人事業から法人成りした場合のデメリットについて教えてください。(J-Net21中小企業ビジネス支援サイト)

このページにあるように、法人成りするとこれまで発生しなかった手間や費用が発生します。法人として事業を営むためにはプロの手を借りる必要も発生するでしょう。見えにくい手間や費用を明らかにして、個人事業主から法人成りすることが自身の事業で本当に有効な手段なのか慎重に検討する必要があります。

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法人化するための手続き

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事業を法人化することを決めたら、事業のための法人を設立します。法人の設立にあたっては、株式会社や合同会社などの持分会社といったさまざまな法人の形態の中から事業に合うものを検討します。形態が決まったら設立登記申請書を用意します。法務局のウェブサイトから法人の種別ごとの記載例や設立登記申請書を入手できます。

参考:商業・法人登記申請手続(法務局)

実印、銀行印、認印などの会社の印鑑の準備も並行して進めながら、設立登記申請書に添付する書類をそろえましょう。添付書類の中で特に重要なものとして、法人の組織やその活動について定めた定款があります。定款には公証人の認証が必要です。認証を済ませたら、資本金を払い込みます。払い込みの証明書は設立登記申請書に添付します。詳しくは前述の法務局の記載例や申請書に記述がありますので、登記時に最新の情報を参照するようにしてください。

準備が整ったら管轄の法務局に必要書類を提出します。このほか、オンラインで登記申請をすることもでき、政府も普及に力を入れています。

参考:
商業・法人登記のオンライン申請について(法務省)
法人設立手続の オンライン・ワンストップ化に向けて(法人設立オンライン・ワンストップ化検討会)

法人の設立が完了したら納税地の所轄税務署に書類を提出するのも忘れずに行なってください。法人設立届出書、棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書を提出する必要があります。国税庁のウェブサイトに詳しい説明があります。

参考:個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき(国税庁)

また、法人化とは直接関係はありませんが、法人成りした後には個人事業の廃業や青色申告の取りやめに関する手続きも必要です。忘れずに手続きをするようにしましょう。

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執筆は2019年3月25日時点の情報を参照しています。
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