経営者として今日から始めたい、企業の減災対策

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大きな災害が起こると、交通機関や通信網、物流にも大きな支障が生じます。避難時の混乱や帰宅困難者の発生、企業活動の停止など、災害への対策については個々人だけでなく、企業も大きな責任を負っています。

阪神・淡路大震災や東日本大震災を経て広く使われるようになった「減災」という言葉は、災害による被害をできるだけ小さくする取り組みを意味します。

参考:減災の手引き 今すぐできる七つの備え(内閣府)

今回は、今日からできる減災対策の具体的な方法を紹介します。

企業における減災対策とは

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台風や地震といった自然災害を完全に防ぐことはほぼ不可能です。しかし、被害を最小にするための備えはできます。たとえば、津波を防ぐために防波堤を作るのは防災、津波が来たときの被害を最小にするために避難訓練をすることが減災という考え方です。

政府の中央防災会議による防災基本計画では、以下のように紹介しています。

災害の発生を完全に防ぐことは不可能であることから、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を防災の基本理念とし、たとえ被災したとしても人命が失われないことを最重視し、また経済的被害ができるだけ少なくなるよう、さまざまな対策を組み合わせて災害に備え、災害時の社会経済活動への影響を最小限にとどめなければならない。

参考:防災基本計画 平成30年6月(中央防災会議)

企業が防災対策を考える際も、災害が起こったらまず被害を最小にし、迅速な回復を図るという減災の理念が重要です。具体的には、人命を守る取り組みと、事業を継続するための取り組みの二つだといえるでしょう。以下、それぞれの具体的な取り組み方法について見ていきます。

人命を守る取り組み

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内閣府が行った調査では、被災時に有効だった企業の取り組みとして、「備蓄品の購入・買増し」「災害対応担当責任者の決定、災害対応チーム創設」「安否確認や相互連絡のための電子システム導入」「避難訓練の開始・見直し」が上位に挙がっています。普段からの備えや訓練の有用性が示されているといえます。

参考:平成29年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査(内閣府)

有効な取り組みとして上がった、備蓄・安否確認システム・避難訓練について、2013年4月に首都直下地震などの大規模災害の発生を想定し施行された東京都帰宅困難者対策条例を参考に、具体的な取り入れ方を見ていきましょう。

参考:2.東京都帰宅困難者対策条例 全文(東京都防災ホームページ)

1,備蓄
条例では、事業者の努力義務として、従業員への一斉帰宅の抑制と従業員が施設内に留まれるよう3日分の備蓄を挙げています。

3日分の目安は、水が1人当たり1日3リットルで計9リットル、主食が1人当たり1日3食で計9食、毛布が1人当たり1枚です。そのほか保温シート、簡易トイレ、携帯ラジオや懐中電灯、救急医療薬品類、ヘルメットや地図なども備蓄品目の例として挙がっています。対象は雇用形態を問わず事業所内で勤務する全従業員です。

参考:2.施設内待機のための備蓄の確保(東京都防災ホームページ)

2016年に東京商工会議所が行ったアンケートでは、全従業員分の3日分の飲料水や食料の備蓄を行っていると答えた企業は約半数でした。特に、従業員規模が小さいほど備蓄の割合が低下していることがわかりました。

参考:東京商工会議所会員企業の防災対策に関するアンケート調査結果 2016年5月(東京商工会議所 震災対策特別委員会)

最近では、飲料水や食料、ヘルメットや救急用品などが一揃いがリュックサックなどに入れてまとめられ、企業用備蓄セットとして販売されています。内容をカスタマイズして自社オリジナルの備蓄セットを用意することもできます。この機会に、自社に必要な備蓄量と品目について確認してみましょう。

2,安否確認システム
条例では、企業には従業員との連絡手段を定めておくこと、家族などと安否確認を取る手段や帰宅経路の確認など必要な準備を行うように従業員に周知しておくことが求められています。

前述の東京商工会議所による調査では、従業員に対する安否確認手段の6割がメール、5割が通話を占め、「災害伝言サービス」や「独自に整備した安否確認システム」の利用は約3割でした。

災害時は電話回線やインターネット回線にアクセスが集中してつながりにくくなるため、政府は通信各社が提供する「災害用伝言サービス」の利用をすすめています。災害用伝言サービスの利用方法については総務省のウェブサイトをご確認ください。

参考:災害用伝言サービス(総務省)

連絡手段は複数用意しておくほうが安全です。メールや電話のみならず、災害伝言サービスやソーシャルメディアなどを使った安否確認方法についても従業員とともに使い方を確認し、いざというときに困らないようにしておきましょう。

3,避難訓練
社内で行う避難訓練に加え、外部の訓練や講習に参加するのも従業員一人ひとりの当事者意識を高めるために有効です。

東京都では、首都直下地震により駅周辺に大量の帰宅困難者が発生したと想定した帰宅困難者対策訓練を定期的に行っています。また、地域の消防署による応急手当講習や、自治体による地震体験車や煙体験ハウスを用いた出張講座なども、従業員が専門知識をもつ人から学び、防災を自分のこととして考えるようになる良い機会になります。

参考:
帰宅困難者対策訓練(東京都防災ホームページ)
訓練・講話(起震車・煙体験、訓練実施計画書)(大田区)

事業を継続するための取り組み

防災と合わせて、被災による経済的被害を最小限に抑えるため企業に推奨されているのが事業継続のためのBCP(事業継続計画)の策定です。

BCPとはBusiness Continuity Planの略で、災害や大事故、テロ、感染症、不祥事まで含めた緊急事態発生時に重要な業務が中断しないように、またたとえ中断しても速やかに復旧できるようにあらかじめ準備しておく行動計画のことです。

BCPには以下の五つのポイントを含まれています。

1, 重要業務の特定:優先的に復旧すべき業務を特定する
2, 復旧目標時間の設定:重要業務の復旧目標時間を設定する
3, 取引先との協議:重要業務や復旧時間について取引先とあらかじめ協議しておく
4, 代替策の用意と検討:事業拠点や生産設備、仕入れなどの代替策を用意、検討する
5, 従業員との共通認識の形成:経営者と従業員でBCPの内容について共通認識をもつ

参考:支援機関(自治体、商工団体、金融機関、士業等)向け中小企業BCP支援ガイドブック(2018年3月 中小企業庁)

中小企業庁では、必要事項を記入していくだけでBCPを作成できる「中小企業BCP策定運用指針」を提供しています。簡単なものであれば1時間程度で作成でき、必要に応じて適宜改訂していくことで、より具体的なBCPを作ることができます。中核業務や連絡手段、事業に不可欠な要素や資源などについて改めて把握することができるため、BCPの策定は経営改善にも役立つといえるでしょう。

予期できない災害から企業を守るためにできることは、緊急事態が起きたときに、人命の安全確保と事業の速やかな復旧ができるように普段から備えることです。今回紹介した取り組みを、ぜひ今日から始めてみませんか。

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執筆は2019年4月7日時点の情報を参照しています。
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