【STORE STORY】働く仲間へ感謝の気持ち、伝えていますか? 心ときめく飴づくり「papabubble」の哲学 

スペインのバロセロナに本店を構えるアート・キャンディのお店「papabubble(パパブブレ)」。飴作りをする大きな板をステージに見立て、客からも見えるようにする演出で、すぐにヨーロッパで人気に火がついた。その海外進出一号店が、東京だった理由は、ほんの偶然からだった。

きっかけは、和食の料理人だった菅野清和さんが、ロンドン、パリの日本食店で働いた後、次なる挑戦を求めて、単身スペインに渡った15年前にさかのぼる。

始まりはバロセロナの語学学校だった

「Kintaro candyの店を、オープンしようと思っている」
ある日、語学学校で隣の席になったオーストラリア人が口にした。

「えっ、キンタロウ飴のお店をバロセロナで?」
口にはしなかったけれど、「内心、やめた方がいいんじゃないかと思っていました」と、菅野さんは笑う。

「この時は、まさか自分が日本で、彼の店の海外支店一号店を開くことになるとは、思ってもみませんでした」
こんなセンスの良さそうなスタイリッシュなオーストラリア人が、なんでわざわざキンタロウ飴を? そんな菅野さんの第一印象がガラリと変わったのは、パパブブレ開店前日、店を訪れた瞬間だった。色とりどりで、遊び心いっぱいのフルーツの飴の世界は、それまで日本人が知っているキンタロウ飴のイメージとはかけ離れていた。

「衝撃でした」

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「飴作りは、熱い、重い、硬い、との戦い。立体パズルゲームみたいで楽しい」

「日本でパパブブレの店を開きたい」とようやく打ち明けられたのは、友人として店を手伝っていて1年ほど経った頃だった。この時、バルセロナの創業者からは、飴作りの方法はもちろんだが、特に、店を持つことへの哲学を繰り返し伝えられたという。
「テンションを高く仕事をしよう、とか、感謝の気持ち、です」

「バルセロナでは帰り際、今日も働いてくれてありがとう、と言われるんですよね。僕はそう言われることにずっと違和感があった。ありがとう、っていうのはお客さんに言う言葉じゃないか、と。お疲れ様、とか、ご苦労様、なのではないかと」
今では菅野さん自身が、同じ言葉を一日の終わりに口にしている。

一緒に働く人たちを大切にしたい、という菅野さんの思いは、2号店、3号店を開く際の原動力にもなった。
「飴を作る楽しさを、人を育てることで広めたい。それには彼らのために、どんどん飴を作る場所を作っていかないと」

こうして今では、日本で8店舗を構えるようになった。

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色とりどりの飴や菓子から、新しい文化が生まれる

「このグリーンティのキャラメルは、世界一美味しいですよ」
店頭で菅野さんは、お客さんに話しかける。

「この間、お使いものにして喜ばれたわ」
レジ横で、会話が弾む。リニューアルオープンした渋谷店ではキャラメル、マシュマロ、チョコレートを使った砂糖菓子を次々と生み出し、新しいお菓子目当てのお客さんも多い。10年前、中野で一号店を開いた時にイメージしていた、ヨーロッパの街角で住民が散歩の途中に買って行く、という光景が、まさにこれだった。

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さあ、次は何をするか。菅野さんは自分自身を、本来「移動するべき人だと思う」と感じている。最近、「飴細工職人」という名刺の肩書を、「代表取締役」に変えた。小学生の頃は、実家の魚屋の店先で、自分で作った小さな水風船に値段をつけて売っていた。18歳で生まれ故郷の宮城を離れてからは、大阪、北海道、ロンドン、パリ、バルセロナ、東京と、さまざまな街の空気を肌で感じながら、学び、仕事をしてきた。これからも、世界中から、おもしろいお菓子を探してこよう。そう心に決めている。

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papabubble
渋谷店 東京都渋谷区神山町17-2
渋谷店の他、全国に8店舗

Square編集部
文:野田香里
写真:Cedric Riveau

Square編集部はお店の知られざる想いを応援します。 スマホ決済のSquareは、papabubbleをはじめ多くの小売店で利用されています