TPP発効、飲食店事業への影響とは?

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5年以上の交渉を経て2018年12月30日にTPP協定こと環太平洋パートナーシップ協定が発行しました。今回は、飲食店経営者を対象にTPPとは何なのかをはじめ、飲食事業への影響をメリット・デメリットを含めて説明します。

TPPとは

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TPPとは環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership)の略で、環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership Agreement)をTPPと略すこともあります。TPPは太平洋周辺の国々による経済連携協定で、首相官邸のTPPに関するウェブページでは以下のように説明しています。

アジア太平洋地域において、モノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、金融サービス、電子商取引、国有企業の規律など、幅広い分野で21世紀型のルールを構築する経済連携協定

参考:TPP(環太平洋パートナーシップ)協定(首相官邸ホームページ)

日本は2013年7月からTPPの交渉に参加してきたことから、交渉の行方や影響についてニュースで耳にしたという人も少なくないでしょう。当初交渉参加国は12カ国でしたが、アメリカが2017年に交渉からの離脱を発表し、同年11月にTPP11協定で大筋合意、2018年3月に署名され、同年12月にTPP11協定(以降TPPとします)が発効しました。

現在のTPP加盟国はアルファベット順でオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11カ国です。TPP発効により東南アジア諸国連合(ASEAN)の4倍にもおよぶ域内5億人の巨大な貿易圏が誕生しました。タイが参加準備を進めるなど、今後参加国が増えて貿易圏が拡大する可能性があります。

TPPというと、関税引き下げにより国内農業が打撃を受けないか、また、プラスの面では工業製品の輸出が加速するのではといった観点から注目を集めてきました。そのほかTPPには知的財産の取り扱いや、投資など多岐に渡る分野での取り決めも含まれます。

農林水産省によると、2017年の日本の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースでは68%と、輸入に頼る部分も少なくありません。飲食店経営者の中には輸入食材を利用している、TPPで食材が安価になるのであれば利用を検討したいという人もいるでしょう。続いてTPPの飲食事業への影響を具体的に見てみましょう。

参考:日本の食料自給率(農林水産省)

飲食事業への影響

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飲食店経営者がTPP発効により受けられるメリットと、注意しておきたい点をそれぞれ説明します。

TPPによる飲食事業への好影響

TPPでの関税引き下げや撤廃により、加盟国から輸入される食材が安価になることが期待されます。すでに加盟国からの食材を使っているという事業者の中にはこの点に大きく期待しているという人も少なくないでしょう。

オーストラリアが輸出する食材として牛肉が有名ですが、これまで38.5%かかっていた関税は16年目に9%まで削減されます。ワインについても15%または1リットルあたり125円だった関税が8年目には撤廃されます。その他、乳製品や米についても関税の引き下げや撤廃により価格が下がる可能性があります。

ただ、関税の引き下げや撤廃については、品目によって即時関税撤廃から、数年かけての関税削減などさまざまな期間や税率が設定され、同じ種類の製品でも区分によって扱いが違うなど、TPPの合意内容は複雑になっています。たとえばチーズを見てみるとフレッシュチーズの中でもモッツァレラチーズとクリームチーズで扱いが違います。食品に関しては、詳しくは農林水産省による「TPPにおける重要5品目等の交渉結果」をご確認ください。

提供しているメニューで使われている食材について、TPP発効によりどのような影響があるか今一度見直してみるとよいかもしれません。関税が大きく引き下げられる、または撤廃されるものも少なくなく、仕入れの価格交渉をする際にTPPについて影響を知識として持っているにこしたことはありません。

今後加盟国が増えることも期待され、より多くの輸入食材を安価に仕入れられる可能性が出てきます。日頃ご愛顧いただいているお客様にTPP還元といった形で、特別価格でメニューを提供してもよいでしょう。

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TPP発効で飲食店経営者が注意しておきたい点

TPP発効によって輸入食材を安価に仕入れられるようになりますが、お客様や取引先とのコミュニケーションの点で注意が必要です。

TPP発効にあたって政府は食の安全に細心の注意を払い、食品の安全が脅かされるものではないとしています。その理由として、輸入食品監視指導、科学的な根拠に基づく検疫措置、さらにTPPは国内での食の安全を守る制度を変更するものではないことが挙げられています。

飲食店ではお客様が口にするものを提供するので、特に新しく外国産の材料に切り替える場合などは安全性については、お客様が知りたいと思ったときに回答できるようにしましょう。なぜその食材を提供したり料理に使ったりするのか、安全性について飲食店経営者としてどのように捉えているのか立場を明確にし、従業員にも周知しておきます。なかなか面と向かって質問しにくいというお客様のために、メニューやポップにさりげなく記載しておいてもよいでしょう。また、お客様によっては、いかに安全でも国産を好む人もいるかもしれません。お客様の声に耳を傾けて、多くのお客様がたとえ値段は高くても国産の食材を好む場合は、いくらTPPによるメリットがあったとしても、最終的には国産の食材を使う方がよいこともあります。

お客様だけでなく、取引先への配慮も忘れてはいけません。TPP発効によって安価な食材を提供するからといって、価格だけを理由に仕入れ先を切り替えてしまうのは軽率かもしれません。これまでの仕入れ先と築いてきた信頼関係も考慮する必要があります。

安心できる食材が予定通り納品されるのは当たり前でなく、一から信頼関係を築くにはコストがかかります。また、TPP発効による影響を仕入れ先に率直に聞いてみてもよいかもしれません。日頃から信頼関係が築けていれば、関税引き下げまたは撤廃によって仕入れ値が下がることはないのか、どのような理由で現在の価格が設定されているのかといった質問もできるでしょう。

お客様や取引先の心理は必ずしも論理的に推し量れるものではありません。TPP発効後、まだ数カ月しか経っていないため、お客様の好みや取引先との関係といったさまざまな要素と仕入れや提供価格のバランスをとりながら、TPPのメリットを事業で受けられる方法を探してみてください。

今回は飲食事業に関連のある部分を中心にTPPとその影響を説明しました。飲食店経営者にとって、TPPにより関税が引き下げられるまたは撤廃されることで、加盟国からの輸入食材の価格が下がる可能性があるのは魅力的です。一方で、価格だけを見て食材を仕入れると、お客様や取引先の信用を失う場合も考えられます。

飲食店の客層やお客様の好みによっては、同業者が輸入食材で値下げをしたり、収益を増やしたりしようとする中、国内の生産者に配慮していることや国産食材を使っていることでお客様の心をつかめるかもしれません。

TPPは発効されてからまだ数カ月しか経っておらず、現在試行錯誤の真っ只中という飲食店経営者多いことでしょう。すべての飲食店に共通する正解はありませんが、日々お客様や取引先の声に耳を傾けることで、自社の店舗に合う形でTPPの恩恵を受ける方法が見えてくるはずです。TPPの影響を見逃さず、ぜひ事業に活かしてください。

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執筆は2019年3月27日時点の情報を参照しています。
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