鍼灸師として独立開業するときに知っておきたいこと

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「しんきゅう」や「はり・きゅう」と呼ばれ、主に鍼や灸を使用し治療を行う鍼灸師。

国家資格の取得後、専門性の高さを活かし、独立開業を目指す人も多いのではないでしょうか。今回は、独立開業時に知っておきたい情報を紹介します。

鍼灸師の仕事とは?

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鍼灸師(はり師・きゅう師)は東洋医学もしくは漢方医学に基づき、全身にある経穴と呼ばれるツボを鍼やお灸で刺激し、人間が本来持つ自然治癒力を高める治療を行います。患者の症状を理解し、分析する能力や、症状に合わせて的確に施術をする技術力が求められる職業です。高度な知識と技術が必要とされ、専門的な教育を受けた後に国家試験を受験し、更に国家試験に合格した人のみが鍼灸師として施術をすることができます。

参考:業務独占資格の見直し(厚生労働省)

近年では、WHO(世界保健機構)やNIH(米国国立衛生研究所)が鍼灸による有効性を認めるなど、多くの病気や不快症状に対して効果が証明されてきています。日本でも、神経痛やリウマチ、五十肩、腰痛、頚椎捻挫後遺症などの疾患が健康保険の療養費支給対象となっています。

参考:
鍼灸の適応例(日本鍼灸師会)
鍼灸の効果(東京都鍼灸師会)
鍼灸の健康保険対象(全国健康保険協会)

鍼灸院開設手続きの流れ

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鍼灸師として働く場合、既存の鍼灸院に務めることもできますし、数年働いて経験を積んでから独立開業をすることもが可能です。

独立開業を考えている人向けに、今回は鍼灸院を開設するための手順を確認していきます。

事前相談

施術所を開設するにあたり、事前に開設予定地を所管する保健所などに相談に行く必要があります。提出に必要な書類、施術所の構造や設備、名称などについて相談をします。構造や設備の基準、名称の注意点などが細かく定められているため、開設前に基準を満たしているか確認をしておくことが重要です。

構造設備基準の規定とは
施術を行うために適切な施設や設備が整っているかを判断するための基準となります。具体的には主に下記の基準を満たしていることが必要です。

・6.6平方メートル以上の専用の施術室がある
※専用性の確保のために、他の部屋とは壁もしくはパーティションなどで空間を完全に区切り、扉の設置をしなければなりません。
・3.3平方メートル以上の待合室がある
・施術室は、部屋の面積の7分の1以上に相当する部分が外気に開放できる(もしくは換気装置がある)
・施術に用いる器具や手指などの消毒設備がある
・衛生上必要な措置を施し、常に清潔に保ち採光や照明および、換気が充分に行える
・無資格者の施術を防ぐために、施術者一人につき1台の施術台が望ましい。

参考:施術所開設届出書留意事項(大阪市)

鍼灸院の名称について
開設にあたり、医療法や医師法にて患者が誤解するような名称を禁止しているため注意が必要です。病院や診療所などの名称や、はり科、きゅう科など「科」や鍼灸医などの「医」を付けた紛らわしい名称を付けることが禁じられています。

参考:
施術所の届け出よくある質問(大津市)
施術所新規開設申請時の注意事項(大津市)

開設

施術所の準備が整ったら、開設届を管轄する保健所に提出します。開設届は施術所の開設後10日以内の提出が義務付けられており、開設後10日を過ぎる場合は遅延理由書の添付が必要になるため注意をしましょう。

開設届に必要な書類とは
施設所開設届は提出用と控え用の2部が必要になります。施設所開設届とともに、下記の書類も用意しましょう。
・業務に従事する施術者の免許証の原本と写し
・施術所平面図(施術室や待合室の面積、外気開放部分や換気扇の位置、施術用器具や消毒設備などの配置箇所が分かるようにしておきます)
・施術所への案内図(最寄り駅からの交通経路、距離、目印など)
・開設者が法人の場合は定款の写しおよび登記謄本(発行より6カ月以内のもの)

参考:施術所開設の手引き(板橋区役所)

現地確認調査

所管する保健所により細かな日程は異なりますが、概ね開設届を受理して7から10開庁日を目安に保健所の職員が施術所に訪問し、実地検査が行われます。

検査時に確認する項目には主に下記の点です。

施術所全般、施術室、待合室、換気、採光、清潔保持
面積や消毒設備など構造設備基準の規定を満たしているかを確認します。

防火措置
消火器などの消火用器具や機材の設置など防火に対する措置が取られているかを確認します。

廃棄物
一般廃棄物と使用済みの鍼など感染性廃棄物の分別が安全に行われていることや、廃棄処理をする委託先の確認などが行われます。また未使用の鍼が安全に保管されているかについても確認があります。

広告
法律に基づいた広告になっているかを確認します。紛らわしい広告や誇大広告の有無も確認されます。

防犯対策
セキュリティシステムの導入など、施術所の防犯対策や、個人情報の保護がなされているかを確認します。

参考:施術所新規開設申請時の注意事項(大津市)

鍼灸院開業の際に必要なものとは

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鍼灸院をオープンする際に主に以下の準備が必要です。

1, 構造設備基準を満たす施術室と待合室が作れる物件
2, 消毒機材、手洗い場などの清潔を保つための設備
3, 施術台、枕やタオルケットなどの備品
4, 待合室のイスやスリッパなどの備品
5, 受付台、電話、会計に必要な機器
6, 鍼を管理するための収納用品
7, 一般廃棄物と感染性廃棄物を分別するためのごみ箱
8, カーテンやブラインド
9, 患者情報を管理するためのパソコンや鍵付きロッカーなど
10, 看板
11, ホームページ

必要面積を満たす施術室と待合室を作ることが困難な場合は、パーティションを設置して壁や扉を作ることで基準を満たすことも可能です。また、使い捨て鍼を使用する場合には安全に鍼を廃棄できる廃棄場所を設置するだけで良いのですが、鍼を繰り返し使用する場合はオートクレープ、乾熱滅菌器などの設備も必要となります。

構造設備基準に関するものは、あらかじめ保健所で相談してみることをおすすめします。それ以外にも細々とした備品も必要となるため、準備期間はしっかりと設けるようにしましょう。

広告に関する規定とは
看板やホームページを用意するにあたり、名称や広告にまつわる規定があるため、作成する際には注意をしましょう。

具体的には、法律で決められた下記の事項は広告することが認められていますが、それ以外はどのような状況であっても広告できないように定められています。

・施術者の氏名、住所
・業務の種類
・施術所の名称、電話番号、所在場所
・施術日、施術時間
・その他厚生労働大臣が指定する事項
(小児鍼、医療保険療養費支給申請ができる旨、予約による施術の実施、休日や夜間における施術の実施、出張による施術の実施、駐車設備など)

また、○○流鍼灸、○○に効く鍼治療など施術者の技能や施術方法、経歴に関する事項の記載はできません。さらに、規定から逸脱するような誇大広告は禁止されていますので注意をしましょう。

参考:施術所開設の手引き(板橋区役所)

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出張施術という選択肢もある

鍼灸師として独立開業する方法は鍼灸院開設だけではありません。鍼灸師は患者の自宅に訪問して施術した場合も保険診療として認められているため、出張専門の鍼灸師として開業することも可能です。

出張専門の鍼灸師として開業するためには
施術所開設届ではなく、出張業務開始届を提出します。提出先は自宅住所を所管する保健所です。既に施術所を開設したうえで出張業務を始める場合は、届出を出す必要はありません。出張施術を専門に業務を行う場合のみに出張業務開始届が必要になります。

出張専門で開業するための必要書類
構造設備基準などがないため、必要書類は業務開始届と届出者の資格免許証原本と写しのみとなります。施設にかかる費用がないため、独立資金を抑えて開業することが可能です。

参考:施術所手引き(名古屋市)

出張専門で開業する際の注意点
注意点としては、個人名での届け出となるため、屋号など施術所の名称や通称を広告することは認められておらず、宣伝活動をする際には気を付ける必要があります。

また、往診先がどのような環境か分からないため、どのような環境でも対応できるように準備をしなければなりません。往診先までの移動方法を検討し、持ち運べる荷物の量を確認し、施術に外せないポイントを絞ったうえで、持参する道具を選別するといいでしょう。

さらに、出張業務を行う場合には片道16キロメートル以内とされており、超える場所への往診は絶対的な理由が必要であると定められているため、届け出を出した住所を中心として活動することになる点も注意してください。

参考:
施術所・出張専門業開設等の手引き(秋田市)
はり、きゅう及びあん摩マッサージの施術に係る療養費の取り扱いに関する疑義解釈資料(厚生労働省)

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執筆は2019年2月7日時点の情報を参照しています。
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