電子マネー導入のメリットと注意点。自店舗に適しているかを見極めよう!

▶この記事では、電子マネーに対応するメリットや、端末を導入するうえでの注意点を説明します。

国内で少しずつキャッシュレス化が進むなか、お客様がどんな決済手段を希望しても対応できるよう、現金に加えてキャッシュレス決済の取り扱いを検討するビジネスオーナーも少なくないでしょう。しかし決済端末を導入するうえでクレジットカードはもちろんのこと、電子マネーにも対応するべきかは悩みどころです。

この記事では自店の売上拡大につなげるためにも留意しておきたい、電子マネーを取り入れるメリットや注意点などを紹介します。電子マネーの導入が自社に適切かを見極めるうえでも目を通しておきましょう。

電子マネーを店舗で取り扱うメリット

(1) 売り上げが拡大する

商品をレジまで持ってきたものの、現金しか使えないと知り、購入を諦めてしまったお客様に遭遇したことはありませんか。このような場合、機会損失につながるのはもちろんのこと、「電子マネーに対応していれば、交通系ICカードで買えていたのに」などとお客様がお店に対してマイナスなイメージを抱きかねません。 逆をいえば「電子マネーが使えるなら買おう」と購入に踏み切るきっかけにもなるかもしれません。

実際にJCBが行なった調査によると、電子マネーを含むキャッシュレス決済ができない場合、消費者の二人に一人(53.5%)が「次回以降の来店意欲が下がる」と回答しています。このように電子マネーへの対応は、見込み客を逃さないための対策にもなり得るでしょう。

電子決済の決済金額は年々増えており、日本銀行決済機構局が2018年にまとめたキャッシュレス決済の調査によると、2010年には2兆円弱だったところが2017年には5兆円近くまで上昇しており、近年国内でも一つの決済手段として浸透していることが伺えます。

参考:
キャッシュレス決済に関する調査(2019年7月18日、株式会社ジェーシービー)
キャッシュレス決済の現状(日本銀行決済機構局)

(2) 会計時間が短縮できる

ビジネスオーナーにとってもお客様にとってもうれしいのは、会計時間の短縮です。

JCBが行なった調査によると、現金にかかる会計時間は平均で28秒。QRコードであれば平均17秒と少し縮まり、サインレスのタッチ決済であれば平均たったの12秒まで短縮。一方で電子マネーであれば、会計時間は平均で8秒まで短縮されると発表されています。

ビザ・ワールドワイドが全国の18歳から60歳の男女850人を対象に2017年に行なった調査では、会計時に他人や周囲に対してストレスを感じる場面でトップを占めたのは69.9%の「レジに長蛇の列ができているとき」でした。

たとえ長蛇の列ではないにしても、会計時に待ち時間が発生することで少なからず消費者にストレスを感じさせてしまうかもしれません。最悪の場合、購入を諦めてしまうことも考えられます。このような事態を防ぐためにも、会計時間を短縮するうえで電子マネーへの対応を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:
<決済速度に関する実証実験結果>レジでの会計時、キャッシュレス決済(※1)は現金より16秒速いことが判明 非接触型(※2)は現金より20秒速く、約1/3の時間で支払いが可能(2019年8月28日、JCB)
全国18-60歳男女850名に聞いた「支払いスピードとストレス」に関する実態調査77%が買い物などでの会計時にストレスを感じた経験があると回答 ブランドデビットカード利用者は、ストレスを感じた経験が最も少ないことが明らかに(2018年2月28日、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社)

(3) 会計ミスや、現金管理にかかる負担が削減できる

店舗での現金の管理が無意識のうちにストレスの原因になっていませんか。

たとえば売り上げにも影響を与えてしまうのは、現金を取り扱うことから生まれる会計のミス。レジ締め時に計算が合わないことを度々経験してきたビジネスオーナーも多いのではないでしょうか。また、現金を店舗で保管し銀行に持ち運ぶとなると盗難のリスクを伴うでしょう。

キャッシュレスの決済手段を増やすことで現金のやりとりが減り、結果として会計ミスが減ることが期待できます。そのうえ、銀行に持ち運ぶ額や店舗で保管する額は多ければ多いほど精神的負担も大きくなるでしょう。キャッシュレスの決済手段を増やすことで、毎日の決済を現金から少しずつキャッシュレスに移行してみてはいかがでしょうか。

電子マネーを導入するうえでの注意点

(1) 電子マネーの取り扱いが不向きなビジネスもある

たとえばコース料理を提供するレストランや旅館など、一人あたりの客単価が高額になる傾向にあるビジネスでも、電子マネーの導入は検討するべきなのでしょうか。

ソフトブレーン・フィールド株式会社が2017年に発表している電子マネーの調査からは、電子マネーの月々の利用料金を聞かれて「10,000円未満」と回答した消費者が7割にのぼることが判明しています。なかでも7割のうち2割は同じ質問において「1,000円から3,000円」と回答しているうえ、6割以上は一度にチャージする金額に「1,000円から3,000円」と答えています。このように電子マネーの利用傾向は、「少額チャージする・少額の買い物をする」だといえるでしょう。そのため、一度での売上額が10,000円を超えるようなビジネスの場合、導入効果はあまり期待できないかもしれません

一方で、一杯400円のコーヒーが最も売れ行きのいいコーヒー専門店や、300円ほどのパンを一人当たり平均で三つほど購入するパン屋さんなど、一度の支払額が高額になりにくいビジネスであれば、電子マネーを希望する消費者も見込めるかもしれません。さらに店舗が駅の近くに位置するのであればなお、交通系電子マネーの導入を検討したいところです。

電子マネーに対応するためには端末費用、またサービスによっては月額利用料金も発生するので、自身のビジネスにとって適切であるかを見極めてから導入を決めましょう。

参考:電子マネー「週に1回以上利用」は8割以上、年代別でも特徴あり(2017年12月14日、ソフトブレーン・フィールド株式会社)

(2) 導入コストや決済手数料がかかる

さまざまなキャッシュレス決済に対応できるマルチ決済端末を導入するにしても、今あるクレジットカード決済端末の利用を継続し、電子マネーのみに対応する端末を導入するにしても、避けて通れないのが導入コストや決済手数料です。

導入コストには、端末費用に合わせて月額利用料金がかかるサービスもあれば、端末費用も利用料も無料のサービスもあるので、予算を考慮したうえで適切なサービスを取り入れましょう。

店舗にすでにクレジットカード端末がある場合

選択肢1. 電子マネーに対応する端末を追加する

たとえば「電子マネーでの支払いを希望するお客様が増えた」などを理由に、電子マネーに対応したほうがいいと判断した場合、「できるだけ早く導入したい」という思いが先行するかもしれません。このような場合は、今あるクレジットカードの決済端末を継続的に利用し、電子マネーの対応端末だけ追加するのも一つの手でしょう。

電子マネーの端末を操作するには少なからずトレーニングが必要となりますが、クレジットカード決済をすでに受け付けているのなら、そこまで精神的な負担にはならないかもしれません。ただし、この場合(1)台数が増えて、レジ周りがかさばる(2)場合によってはそれぞれ個別に月額利用料金が発生してしまう、という弱点があります。

選択肢2. あらゆるキャッシュレス決済に対応するマルチ決済端末に切り替える

今までは一つの決済方法につき、一つの決済端末を使用するのが一般的でしたが、近年では決済手段が多様化していることもあり、一つの端末で主要の決済手段を幅広くカバーできる「マルチ決済端末」が登場しています。

「クレジットカード決済端末はあるけれど、電子マネーには対応していない」という場合は、マルチ決済端末への乗り換えも視野に入れられるでしょう。

今まで使い慣れていたクレジットカードの決済端末から乗り換えなければいけない分、最初のうちはトレーニングに時間を割かなければいけなかったり、操作方法に戸惑ったりする点が懸念されますが、長期的に考えて以下が実現できるのは利点でしょう。

・台数を複数持たなくて済む
・月額利用料金を二重で支払う必要がない

また、一つの端末に全てのキャッシュレス決済を集約できるため、POSレジとの連携も円滑になるでしょう。

店舗にまだクレジットカード端末を導入していない場合

今は現金しか扱っていないものの、客単価アップや会計時間の短縮などキャッシュレスのメリットを考慮して、「ゆくゆくはクレジットカード決済を受け付けたい」と考えるビジネスオーナーも少なくないのではないでしょうか。

前述のように、近年ではクレジットカードと電子マネーの両方に対応する決済端末が登場しているので、売上拡大を狙ううえで電子マネーの対応有無も考慮するといいでしょう。

たとえば以下のようなビジネスは、電子マネーの利用者が見込めると考えられます。

・一人あたりの客単価が数百円から数千円であることが多い
・自店舗が駅の近くに位置する

さらに「できるだけ導入コストを抑えたい……」という場合は、下記も欠かさずに確認しましょう。

・初期費用の有無
・端末費用
・月額利用料金の有無

たとえばクレジットカード、QRコード電子マネーに対応しているSquareであれば、初期費用・月額利用料金はかかりません。Squareでは、タブレットなどと無線で接続して利用するモバイル決済端末と、決済機能・レジ機能・レシートプリンターが一台に備わったオールインワン決済端末の二種類を提供しています。必要なのは、決済端末の購入費用と、決済が発生した際の決済手数料のみです。手数料について詳しくはこちらをご覧ください。

電子マネー決済がどこよりも早く

クレジットカード決済や、Suica・PASMOの電子マネー決済も、Squareなら最短6日で導入可能。

機会損失につながらないよう、さまざまな決済手段に対応するのは賢い試みでしょう。一方でコストを管理するうえで、自社にとって電子マネー決済に需要があるかを見極めることも、導入にあたり考慮したい点です。

次回は見込み客の取りこぼしを防ぐうえでも、電子マネーを導入したいと考えるビジネスオーナーに向けて、電子マネー決済の対応端末とその導入方法を紹介します。


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執筆は2019年9月13日時点の情報を参照しています。2022年9月15日に記事の一部情報を更新しました。現時点では、タクシー・ハイヤー等での電子マネー決済のご利用はできません。ご了承ください。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。