見える化とは?概要や目的・メリット、具体的な実行方法を解説

「見える化」とは、製造業などでよく使われる問題改善や業務効率化の方法ですが、スモールビジネスにおいても役立ちます。

この記事では、スモールビジネスで見える化を行ないたいビジネスオーナー向けに、見える化の概要、目的とメリット、導入事例、見える化をスモールビジネスで実行する方法について解説します。

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見える化とは

ビジネスにおける「見える化」とは、業務の現状やフロー、進捗状況や実績などを、グラフ・図表・数値などのわかりやすい形で、だれにでも理解しやすいように表すことを指します。

トヨタ自動車の岡本渉氏が1998年に発表した論文「生産保全活動の実態の見える化」において、「見える化」という言葉が使われています。

トヨタではたとえば、工場ラインで起きた異常とその種類をランプの色でだれもがわかるようにする「あんどん方式」などの「トヨタ生産方式」を採用していました。トヨタ生産方式における「目で見る管理」が発展したのが見える化です。

見える化の目的とメリット

見える化の目的は、業務の現状などをだれもがわかる形で示すことで、問題の早期発見・改善につなげることです。

スモールビジネスにおける見える化のメリットは、主に次の点が挙げられます。

業務における問題の発見と対策

先述したトヨタのあんどん方式などの見える化は、工場ラインの異常を早期に発見して対策をとることが目的でした。スモールビジネスにおいても、業務の流れや業務内容などの見える化を行えば、問題点が発見しやすくなり対策につながります。

業務のムダを把握・削減し、業務を効率化

業務に多くの人手を割くのが難しいスモールビジネスにおいては、業務量や各業務に費やしている時間などの見える化によって、ムダを削減し業務を効率化して人手や残業時間を減らすことは大きなメリットとなります。

業務内容や暗黙知の共有と標準化

小規模な企業では、業務内容のマニュアルがないケースが多く、同じ業務を各自が異なる方式で行っていたり、ノウハウなどを個人で抱え込んでいたりする場合があります。見える化により、正しい業務内容やノウハウの共有・標準化が可能です。

社内教育の効率化

業務内容やノウハウの見える化が行われていれば、新人教育などの時間も短縮・効率化できます。

ミスやリスクの削減

業務の流れなどの見える化は、予想されるミスやリスクの指摘・削減につながります。

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見える化の事例

では、スモールビジネスにおいて、見える化をどのように導入すればよいのでしょうか。

業務に要する時間を見える化

小規模企業であっても、2020年4月(中小企業は猶予期間を含めると2021年4月)から適用される「同一労働同一賃金」は無関係ではありません。従業員の同一労働同一賃金を考えるうえでは、各従業員がどのような業務にどれだけ時間を費やしているかを把握することが必要です。

業務時間の把握には、従業員ごとに業務に要する時間を記録して見える化を行うツールを利用する方法があります。ブラウザやアプリから簡単に時間を記録でき、他のメンバーがどのような時間を記録しているかをリアルタイムで共有可能です。メンバー・チーム・期間ごとなど、グラフや表などわかりやすい形で見える化できます。

業務量を見える化

人手不足で悩む小規模企業も多いでしょうが、人手不足による残業を減らすためには、業務量の見える化が効果的です。業務量の把握には、タスクと要する時間を記録することで、どのタスクに必要以上な時間がかかっているかを判断したり、1日のタスクを入力すると残業時間を予想したり、といったことが可能なツールの利用が効果的です。

個人だけではなく、チーム内で各メンバーがどのようなタスクを抱えてどれだけの時間を費やしているかの見える化も可能です。見える化により、メンバー間でタスクを依頼したり、多忙なメンバーのタスクを皆で分け合ったりなど、チーム単位で業務量の調整ができるようになります。

業務に要する時間や業務量の見える化により、ムダな業務を洗い出し、業務自体や費やす時間を削減することで、業務の効率化が実現できます。

AIによる業務の見える化

各従業員のパソコンの利用状況や、メール・スケジュール表などのデータから、従業員がどのような仕事を抱え、それぞれにどれだけ時間をかけているかをAIが分析・見える化を行なうツールを提供する企業も増えています。前述の各従業員が自身の業務時間、タスクなどを入力する方法だと従業員の負担が増えて、上手く行かなさそうだと感じている場合は、このようなAIを活用した見える化ツールの導入を検討してみても良いかもしれません。

参考:NTT西日本、AI分析による働き方の見える化サービス(2019年7月16日、マイナビニュース)

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見える化をスモールビジネスで実行する方法

実際に、スモールビジネスにおいて見える化を実現する方法をいくつか紹介します。

クラウド型の業務管理ツールを活用

クラウド型の業務管理ツールは見える化に活用できる効果的な方法の一つです。低コストで導入でき、使いにくいと感じた場合はすぐに利用を止めることができます。業務効率化ツールを選ぶポイントは、次のようになります。

・パソコンブラウザやスマートフォンのアプリなどから、複数のデバイスで使える
・UIが使いやすい
・導入費用がそれほど高くない
・無料お試し期間がある

個人の場合はアプリなどで手軽に始めてみる

まだ従業員を雇わずに1人で運営しているビジネスオーナーもいることでしょう。個人の場合は、チームの見える化は必要ないため、まずは自らの業務状況の見える化を行ないましょう。業務内容やそれぞれに費やす時間をアプリやExcel、手帳などのツールを使って記録・分析します。それだけでも、どの業務のどの工程に時間がかかっているかを把握でき、ムダな時間の削減方法を検討して業務効率化につなげることができます。

見える化は、業務の現状などをグラフや数値といったわかりやすい形で示すことです。問題を発見しやすくし改善を行うのが目的で、業務のムダを削減し効率化できるなどのメリットがあります。たとえば、業務に要する時間や業務量などの見える化により、非効率な部分を把握でき、ムダの削減やチーム内での業務調整なども行ないやすくなります。

見える化には、クラウド型のツールを活用するのが効果的です。無料のものから有料のものまで、さまざまな用途に応えるものがあります。見える化を行う目的と実現したい状況を考えたうえで、目的に合ったツールを選択しましょう。

執筆は2019年8月19日時点の情報を参照しています。
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