【商いのコト】犬猫と飼い主にとって最後の砦 ー 犬と猫の皮膚科

成功も失敗も、すべては学びにつながる。ビジネスオーナーが日々の体験から語る生の声をお届けする「商いのコト」。

つなぐ加盟店 vol. 31 犬と猫の皮膚科 村山信雄さん

「犬と猫の皮膚科」の代表・村山信雄さんは、日本でたった6人しかいないアジア獣医皮膚科専門医。前編では、村山さんが獣医を志したきっかけと、日頃診療をするときに心がけているポイントについて伺った。

取材をする中で気づいたのは、村山さんが「満足度」という言葉を頻繁に使っているということ。前編に出たエピソードの中にも、診療時間を区切って予約制にしたり、飼い主が喋りやすい空気を作ったりと、満足度を高める工夫が見られた。

村山さんが満足度にこだわるのはなぜなのだろうか。

前編はこちら

最後の砦だから、決して諦めてはならない

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「僕らは、犬猫と飼い主さんにとって、最後の砦なんです。」

満足度にこだわる理由を聞くと、村山さんはこう答えた。
「犬と猫の皮膚科」は、かかりつけの動物病院での治療が難しかった症例を持つ犬猫が来院してくる。つまり、“ここでダメなら、後がない”というわけだ。

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「かかりつけの先生から紹介されてうちに来ている手前、僕らは絶対にギブアップできないんですよ。病気を治すこともそうだし、飼い主さんの意図をちゃんと汲み取ることもそう。治療費としてそれなりの金額を求めているわけですから、それ以上のものを提供して満足してもらうのは当たり前のことです。」

自分達が病状の改善を“託されている”という自負。それがあるからこそ、質の高いサービスを提供するためには妥協を許さない。もちろん現実は厳しく、通っていた犬猫の中には、病気が治らずに通うのをやめてしまったというケースもある。だが、それでも前を向くのが、村山さんの姿勢だ。

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「病状を改善できなかった記憶って、いつまでも頭の中に残っているんですよね。次に同じような犬猫が来たときには、絶対に治せるようになって満足して帰ってほしい。だから、僕達は常に進歩し続けなければならないんです。」

村山さんは、人間の医療を犬や猫の分野に活かすために、大学の医学部の講義を受講したり、共同研究をしたりすることを検討している。齢49にして、尚気力衰えず。自身の仕事に対する圧倒的なプロ意識が、村山さんを前進させる原動力になっているのだ。

専門医を育成する施設を作り、後継者を

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昨年、村山さんにある転機が訪れた。
子どもの誕生だ。双子が生まれ、日々成長していく子どもの様子を温かく見守っている。

「子どもはやっぱり可愛いですね。癒やされています。ふとしたときに子どもの肌を見ると『あ、乳児湿疹だ。』と、医師の見方になってしまうこともありますけど(笑)。」

父親になったことも関係しているのだろうか、最近は自身の成長だけでなく、“同じ志を持った後継者を育成する”という方向にも目が向くようになったのだそう。最後に、獣医全体を見据えた今後の展望を語っていただいた。

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「まだ、日本には専門医を育成できる施設が2つしかありません。だから、ゆくゆくはこの病院をそういう施設にしていきたい。嬉しいことに、僕の話を聞きたいと言ってくださる獣医の方もいらっしゃって、講演などをさせていただくことも増えています。そういった方々とも切磋琢磨しながら、高い専門性を持った獣医を増やしていきたい。そして、少しでも多くの動物を助けられる状況を実現させていきたい。子どもが生まれたばかりなので、僕はおそらく死ぬまで現役でしょう(笑)。残りの仕事人生を、皆さんと一緒に楽しんでいきたいと思います。」

犬猫や飼い主にとって満足のいく診療を追求する村山さんの姿勢は、まさにプロフェッショナルと言うに相応しいもの。自分の仕事に対する責任をここまで重く考えられている人が、一体どれほどいるだろう。

言葉では語らずとも、村山さんの仕事は働く者全員の心に熱く問いかけてくる。「それはプロの仕事か?」と。

前編はこちら

犬と猫の皮膚科
135-0023
東京都江東区平野2丁目11-14 TANDEM平野ビル1F

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(つなぐ編集部)
写真:小堀将生