はじめての起業 〜アルバイトの採用編〜

個人事業主として独立、もしくは株式会社や合同会社を立ち上げて、事業が順調に進んでいるのはいいけれど、一人では回らなくなってきている……。そんなビジネスオーナーのために、はじめて従業員を採用するときに知っておきたいことをまとめました。

Q:一人でやっていたお店が忙しくなってきました。アルバイトを採用したいのですが、どこで募集すればいい?

A:募集にかけるコストとターゲットに合わせた募集方法を考えましょう。

正社員、パートタイム、アルバイトなど雇用形態に関係なく、ターゲットと予算に合わせて募集告知を出しましょう。募集を出す媒体ごとの大まかな特色は次のようになっています。

  • 情報誌
    駅やスーパーなどに置かれており、ある程度地域を絞りながら、学生や主婦を中心として比較的幅広い年齢層に訴求できます。
  • 折り込み広告
    新聞をとっていることが前提で、パートタイムの仕事を探している主婦層などをターゲットとする際に活用できます。
  • ハローワーク
    無料で利用でき、幅広い年代に訴求できます。
  • 自店舗での張り紙などによる掲示
    自店の利用者がターゲットになります。通いやすい近隣に住み、お店に対して親近感を持っていることから、採用した後の定着率が高いと考えられます。
  • 大学や専門学校などへの依頼
    特定の学校に絞り込んだ募集ができます。たとえば、飲食業なら栄養や接客に関するコースのある学校に求人を出せば、比較的相性の良い学生からの応募が望めます。
  • インターネットの求人サイト
    地域的な制限がなく、幅広い年代層に訴求ができます。掲載する期間や内容によっては、手間とコストがかかります。
  • ソーシャルメディア
    店舗のソーシャルメディアアカウントに採用情報を掲載します。フォロワーが採用情報を拡散してくれるので、コストがかからず、また店舗に親近感を持っている人からの応募があると考えられます。
  • 人材紹介業者
    人材紹介業者が欲しい人材を探して、紹介してくれるので、理想的な人材が確保しやすい半面、採用手数料がかかります。

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Q:募集要項には何を書いたらいいですか?

A:ミスマッチを避けるためにも、労働条件は明記しましょう

まずは、以下の法律が求人に関わることを知っておきましょう。

雇用対策法
男女雇用機会均等法
職業安定法

アルバイトだけでなく、人材を募集する際には基本的に、応募する人を限定できません。たとえば、工場のアルバイトスタッフ募集に「男性のみ」と記載することはできませんし、事務員の募集を「女性のみ」とすることもできません。また、男女ともに採用するとしても、「男性は3人、女性は1人」などと、性別ごとに人数を限定することはできません。性別の他にも、年齢や国籍、住んでいる地域などを限定した募集を行うことは原則禁止されています。たとえば薬剤師やトラックドライバー、看護師など資格や免許がなければできない仕事の場合には、「薬剤師の資格所有者」のように記載できます。

また、募集にあたって大切なことは、労働条件をしっかりと記載することです。どういった仕事なのか(業務内容)、契約の期間、試用期間の有無、勤務場所、始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、給与(最低賃金を下回ってはいけません)などは最低限記載しておくべき事項が法律で定められています。労働条件を明記することは法律を守ると同時に、ミスマッチによる早期退職やトラブルを避けることにもつながります。

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Q:アルバイト従業員の採用が決まりました。何を準備したらいいですか?

A:社会保険や雇用保険への加入と、教育の準備をしましょう。

人数に関係なく、一人でも労働者を雇用したら、経営者は社会保険(
厚生年金保険と健康保険)と労働保険(雇用保険と労災保険の総称)に加入する義務があります。パートタイムやアルバイトなどの従業員でも、一定の条件を満たしていれば、保険加入の義務が発生するので、採用したアルバイト従業員が条件を満たすかどうか、確認をしましょう。

社会保険の加入条件
・勤務時間が正社員の四分の三以上の場合
・一カ月の勤務日数が正社員の四分の三以上の場合
・契約期間が二カ月以上の場合

また、2016年10月にパート・アルバイトへの社会保険の適用が拡大され、上記の条件を満たしていない場合でも、以下の条件を満たしていれば社会保険の適用対象となりました。

・一週間の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金88,000円以上(年収106万円以上)
・勤務期間が一年以上見込まれる
・学生でない
・従業員501人以上の事業所に勤務している(従業員500人以下の事務所の場合は、労使の合意があれば加入可)

雇用保険の加入条件
・勤務期間が31日以上見込まれる
・一週間の所定労働時間が20時間以上

初めてのアルバイト採用では、採用をした経営者も、採用された従業員も不安や心配事が多いかもしれません。「思っていたのと違った」と早々に辞めてしまわないように、どんな働きや役割を期待しているのかを、面接やオリエンテーションといった早い段階で伝えることをおすすめします。

余裕があれば、アルバイト従業員用にマニュアルを作っておきましょう。営業中は教える時間が十分に取れないときや、一度では覚えきれない細々とした事項があるときに役立ちます。マニュアル作りを二人三脚で取り組むのも良いかもしれません。経営者の目線ではなく、アルバイトの目線でどこが分かりにくいのか、間違えにくいのかが明確になったマニュアルを作れるだけでなく、一つのプロジェクトを達成することでアルバイトスタッフのモチベーションアップにもつながります。

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Q:最近話題のバイトテロが怖いです。どんな対策方法がありますか?

A:完全に防ぐ手立てはありませんが、監督者が常にいることと、従業員との密なコミュニケーションは欠かせません。

近年話題になっているバイトテロ。メディアに大きく取り上げられることで、社会的に大きなイメージダウンがもたらされることもあります。

正解はありませんが、未然に防ぐための対策をいくつか紹介します。

心理的に不適切な投稿ができない環境づくり
バイトテロを防ぐ方策にはさまざまなものがありますが、基本となるのが、従業員の意識のあり方です。店長や経営者が主体となって密度の濃いコミュニケーションをとり、アルバイト従業員も店舗を一緒に運営していく者としての当事者意識が持てるようになれば、不適切な行動をソーシャルメディアに投稿しようという発想は生まれにくくなっていくでしょう。

アルバイト従業員だけになる時間を作らない
バイトテロは、監督者が不在でアルバイトの従業員だけになる時間帯に多く発生しています。そのため、常に誰かしらの管理監督者が店舗にいるようにすることが、バイトテロの抑制に効果があると考えられます。現状で対応できないようであれば、運営システムを考え直すことも視野に入れておきましょう。

「その後」どうなるかを理解させておく
バイトテロの多くは、「仲間内の悪ふざけ」の延長線上で行われており、当人たちに店舗や企業へ損害をもたらそうという意図がないことが多く見られます。インターネットによって広まった情報から、閲覧した人たちによって動画に関わった人物が特定されることも難しくありません。その結果、個人情報が拡散し、本人がいやがらせを受けたりするだけでなく、場合によってはその後の就職に影響したり、家族にいやがらせが及ぶことも十分考えられます。自分の身にどのような処遇がもたらされるかなどを意識していないがゆえに行為に及んでしまう部分があるので、バイトテロを防ぐには、事前に過去の事例などを交えて、軽率なソーシャルメディアの投稿を行うとどうなるかを従業員に理解させておくことが重要な対策になるといえるでしょう。

執筆は2020年1月6日時点の情報を参照しています。
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