エクセルはもう古い?給与計算を楽にするサービス3選

アルバイトやパート従業員を雇っている事業主で、給与計算を毎月行うのが億劫だと感じる人も多いのではないでしょうか。

今回は、従業員の給与計算を行うために必要なもの、給与計算の算出方法、給与計算を助けてくれるサービス3選を紹介します。毎月の給与計算を少しでも楽にするためにご活用ください。

給与計算するために用意するもの

従業員の給与計算を行うためには、あらかじめ何を用意しておけばよいかを解説します。

就業規則

まず、常時(常に)10人以上の従業員(パートやアルバイトを含む)を雇っている場合は、労働基準法に従って「就業規則」の作成が必要です。

「常時10人以上」とは、常に10人以上、一時的に欠けることはあっても、通常は10人以上の従業員がいるのが普通である状態のことを指します。従業員は正社員だけではなく、非正規雇用のアルバイトやパートタイマーも含みます。ただし、派遣社員は派遣元の労働者とみなされるので含みません。

従業員が10人未満の状態では、就業規則は必要でしょうか。

就業規則は会社のルールを明文化したものです。従業員が複数いる場合は、ルールがきちんと明示されず暗黙の了解といった状態では従業員が混乱してしまいます。特に、後述する給与規程があいまいだと、給与の根拠が不明となり、トラブルの元になりかねないので、円滑な会社経営のためには、従業員が10人未満であっても就業規則を作成しておいた方がよいでしょう。

給与規程

就業規則には記載すべき内容が複数ありますが、絶対に記載が必要な内容(絶対的必要記載事項)に、以下のような賃金についての事項があります。

・賃金の決定方法
・計算方法
・支払方法
・賃金の締め日と支払日
・昇給についての事項

このような事項を「給与規程」としてまとめて作成することがよくあります。

給与計算をするにあたっては、給与規程を理解できていないと計算ができないため、自社のルールはどうなっているのかを必ず確認しましょう。給与規程がない場合は、作成するところから始めることになります。

従業員の情報

従業員の属性によって給与計算の方法は変わってきます。労働時間の短いアルバイトなら、時給に労働時間をかけて、交通費などの手当を足せば済みますが、役職についている正社員であれば、給与体系を確認して役職や勤続年数などに基づいて基本給を計算し、役職手当や家族手当などの各種手当、雇用保険や社会保険などを加味して計算します。

そのため、従業員ごとの情報確認が必要です。また、従業員ごとに労働条件が違う場合は雇用契約書の締結が必要なため、雇用契約書を結んでいるかとその内容を最初に確認しておきましょう。

従業員のタイムカード

給与計算には、労働時間を記載・管理しているもの(タイムカードなど)が必要となります。

時給制の場合、10分単位で労働時間を切り捨てなどの計算方法を取っている企業もあるかもしれませんが、1分単位での計算が原則になっていることは押さえておきましょう。

また、時給計算や基本給の計算において、次の時間外労働などが発生していたら割増賃金を払うことが義務づけられています。

時間外労働
労働基準法においては、1日8時間、週5日の週40時間を法定労働時間と定めており、この時間を超えて従業員が働いた場合には、雇用者は超過時間に対して25%増の割増賃金を払わなければなりません。

深夜労働
22時(午後10時)から5時までの時間に働いた場合は深夜労働となり、25%増の割増賃金を払う義務があります。さらに、時間外労働かつ深夜労働の場合には、25%足す25%の50%の割増賃金となります。

休日労働
労働基準法においては、週1日ないし4週で4日以上の休日(法定休日)を与えることが義務づけられており、法定休日に働いた場合は35%増の割増賃金の支払が必要です。加えて、法定休日に深夜労働をした場合には、35%足す25%で60%増の割増賃金の支払いが義務づけられます。

給与計算の算出方法
給与は基本的には、次の式で算出されます。

給与(差引支給額)=総支給額−控除額

「総支給額」は基本給(時給制の場合は時給に労働時間をかける)に割増賃金や各種手当を足した金額、「控除額」は雇用保険や社会保険、源泉所得税などの税金を足した金額です。

手順としては、主には次の手順で計算します。

(1) タイムカードなどから労働時間を集計
(2) 時間外労働など割増賃金の計算
(3) 各種手当を加算
(4) 総支給額を出す
(5) 控除額の計算
(6) 差引支給額を算出

(5)の控除額においては以下の項目を計算しますが、従業員の属性によってどの項目を計算するかは変わってきます。

・所得税
・住民税
・雇用保険
・社会保険
・厚生年金

週20時間未満など短時間勤務のアルバイトやパートの場合は、雇用保険・社会保険・厚生年金に加入する義務がないため、計算の必要はありません。

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アルバイトの給与計算例

アルバイトにおける給与計算例として、次のケースを考えてみます。

・20代アルバイト
・時給1,000円
・9時から18時まで、1日8時間(1時間休憩)
・週5日勤務で20日働く
・18時から20時まで残業した日が5日間(計10時間)
・交通費は1日あたり200円

(1)労働時間:8時間×20日+時間外労働10時間=170時間(うち時間外労働10時間)
(2)基本給:1,000円×170時間=170,000円
時間外労働に対する割増賃金:1,000円×0.25×10=2,500円
(3)通勤手当(交通費):200×20日=4,000円、それ以外の手当はなし
(4)総支給額:基本給170,000円+割増賃金2,500円+手当4,000円=176,500円

総支給額(いわゆる額面)は176,500円となり、ここから所得税などの控除額を引いた金額が手取りの給与となります。

給与計算が楽になるソフト3選

給与計算を行うにあたって、最も大事なことの一つが従業員の労働時間管理といえます。労働時間をきちんと管理できなければ計算ができません。さらに、毎月タイムカードを集計するのは手間がかかるため、できるだけ負担が少ない方法を採りたいものです。

そのため、ここでは従業員の勤務時間管理と給与計算が手軽にできる、スモールビジネス向けの給与計算を助けてくれるアプリ3選を紹介します。

Square POSレジ

近年、レジスターを置く代わりに、スマートフォンで使用できるレジアプリで会計システムを構築するお店が増えています。レジアプリのなかでも、シンプルで使いやすさに定評のあるのが「Square POSレジ」アプリです。

Square POSレジは、レジ機能に加えて「スタッフ管理」機能も備えています。スタッフ管理には「タイムカード」機能があり、スタッフはPOSレジアプリから手軽に出退勤や休憩時間を記録できます。

面倒な時給計算も、Square データ上で勤務状況を確認できるので、タイムカードの内容を表計算ソフトに入力して計算する手間もなくなりおすすめです。

Square POSレジアプリは、iOSAndroidの両方で利用できます。Square POSレジアプリの利用、スタッフ管理機能の利用は無料ですが、従業員ごとの売上追跡や複数の賃金を設定するなどより高度な機能を使いたい場合は1店舗につき月額3,000円かかります。

SquareのPOSレジなら高機能なのにずっと0円

キャッシュレス決済、在庫管理、顧客管理、スタッフ管理など、店舗に必要な機能をすべて搭載

人事労務freee

クラウド会計ソフトfreeeによる人事労務ソフトです。給与計算だけでなく、入退社やマイナンバーの管理、法定三帳簿の自動作成など、人事労務に関わる業務の効率化・軽減化が一気に図れるのが特徴です。

利用料金は、1カ月あたり1,980円(従業員3名まで)から。まずは無料で使い勝手を試してみることもできます。モバイル版人事労務freeeはiOSとAndroidの両方で利用できます。

ジョブカン勤怠管理

勤怠管理に特化したサービスです。給与計算機能はありませんが、勤怠データをCSVファイルに出力することができます。スマートフォンアプリのほか、ICカードや指静脈、モバイルGPS、LINE、Slackなどを利用した打刻ができ、事業形態やスタッフの希望にあわせて打刻方法を選ぶことも可能です。基本は有料ですが、30日間の無料プランで使い勝手を試してみることができます。

給与計算を行うには、従業員ごとに給与体系などの属性を確認して、月の労働時間を把握して割増賃金や各種手当を加算し、必要な控除額を減算する必要があります。

最も大切なのは従業員ごとの労働時間管理ですが、近年はアプリで勤怠管理と自動計算を手軽に行うことが可能です。経営者や人事担当が苦労して計算するよりも、労務管理に特化したサービスの導入でかなりの手間を省くことができるので、ぜひ導入を検討してみてください。


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執筆は2020年2月18日時点の情報を参照しています。
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