ハンドメイド作品の販売を始めるときに知っておきたいこと

子ども服を始めとする洋服、アクセサリー、陶磁器などを作る腕に自信があるという人の中には、ハンドメイドの作品を販売して副業にしたい、事業にしたいと考えている人もいるでしょう。

ハンドメイド作品の販売を始めるにあたって知っておきたい販売手段、気をつけたいこと、開業手続きについて説明します。

目次



ハンドメイドの作品を販売する手段

作品を作るのは得意だけれど、いざ作品を売ることを考えると、どこでどう売ってよいのか迷ってしまうという人もいるかもしれません。

販売の手段には以下六つの方法が挙げられます。それぞれの特徴をメリット・デメリットとあわせて見ていきましょう。

ハンドメイド販売サイトに出品する

ハンドメイド作家に販売場所を提供する新たなプラットフォームとして、昨今注目を浴びているのがハンドメイド販売サイトです。プラットフォーム上ではさまざまな作家の作品が購入できることもあり、お客様はサイトを回遊しながら自分の好みの作品を探ることができます。

サイトごとに発送対応エリアや人気のある作品カテゴリなどが異なるので、自身の作品の特性やターゲット層を踏まえてサイトを選ぶといいでしょう。

メリットとしては、出品方法が簡単で集客力がある点が挙げられますが、販売手数料を多めに取られてしまう、価格競争が激しいなどのデメリットもあります。

ネットショップで販売する

前述のハンドメイド販売サイトでは自身の販売ページのレイアウトを変えたり、デザインを変えたりなどのカスタマイズができないので、サイト内で個性が表現しにくく差別化が図りづらいと感じる人もいるかもしれません。

サイトそのものから自身の世界観を伝えられるような仕組みにしたい場合は、独自のネットショップを開設するのも一つの手です。

オリジナリティが出しやすい点に加えて、ハンドメイド販売サイトに比べて販売手数料を安く抑えられるというメリットもあります。ただし、ショップの認知度を上げるにはSNSを使い集客に力を入れる必要があるでしょう。

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イベントに出店する

オンライン販売ではお客様との交流が図りづらく、リアルな反応が聞けないことにもどかしさを感じる人もいるかもしれません。お客様と会話をしながら自分の作品を販売していきたい場合には、クラフトマーケットや陶器市をはじめとするイベントに出店してみてはいかがでしょうか。イベントへの出店とオンライン販売を並行して行う作家も多いようです。

お客様の声が直接聞けるのは貴重な機会ですが、準備にはある程度の時間を割かなければいけないうえ、出店にはさまざまなコストがかかります。

たとえば決済手段も、自身で用意するのが一般的です。スマートフォンとつなげて利用するSquare リーダーなどがあれば、お手頃かつ簡単にキャッシュレス決済にも対応できます。

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店舗に置いてもらう

セレクトショップやカフェ、アパレル店などの店舗に販売を委託するのも一つの手段です。店に立つことなく販売できるうえ、お客様には実際に作品を手に取って見てもらうこともできます。

ただしここまで挙げてきた方法のように「手続きさえすれば販売できる」とは限らず、置いてもらいたい店舗からの了承がなければ販売への道は閉ざされてしまいます。また、売り上げの一部は委託販売料として店におさめる必要があります。

フリマアプリに出品する

ハンドメイド作品の販売先として、フリマアプリを選ぶ人も少なくありません。フリマアプリとは「フリーマーケットアプリケーション」の略語で、中古品の取引を中心とするオンライン上のフリーマーケットです。

メルカリなど、ユーザー数が多く知名度の高いサービスもあることから集客力には長けているといえるかもしれません。ただしハンドメイド作品の販売に特化しているわけではないため、自身の作品に需要があるのかなどは事前にアプリを利用してみて調べておきましょう。また、アプリの特性上、値下げ交渉をされてしまい想像以上に低い値段で販売することになる可能性も考えられます。

ネットオークションに出す

ネットオークションとは、オンライン上でオークション形式で商品を販売する方法です。最も高い買取価格をつけたお客様に商品が渡る仕組みであることから、予想以上に商品が高く売れる可能性があります。

ただしフリマアプリと同じようにハンドメイド作品に特化していないうえに、希少価値の高い商品の売買目的で利用する人が多いため、ハンドメイド作品は売れにくいかもしれません。

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ハンドメイド作品の販売にあたって気をつけたいこと

インターネット上のサービスを使えば誰でも気軽に作品を販売できるようになった一方で、販売にあたって気をつけたいこともあります。第一に作品の安全性に十分配慮し、該当規制する規制がある場合は遵守しなければなりません。さらに副業や本業としてハンドメイドの作品を販売するからには適切な対価を得る必要があります。ここではそれぞれについて詳しくみてみましょう。

作品の安全性に配慮し規制を守る

いくら見た目が美しい作品や実用的な作品でも、お客様が安全に鑑賞・使用できる必要があります。ハンドメイド作品の小規模販売の場合、PL法(製造物責任法)の対象にならないと考えることもできますが、念のため概要を把握し、不安がある場合は消費者庁に問い合わせると安心です。

参考:
製造物責任(PL)法の逐条解説(消費者庁)
製造物責任(PL)法って、なに?(大阪市消費者センター)

PL法の対象となることがわかったら、販売した作品が原因で損害賠償や訴訟が発生した場合に備えて保険をかけておくこともできます。保険会社各社からPL保険(生産物賠償責任保険)と呼ばれる保険商品が提供されているので、事情に応じて検討してみるとよいでしょう。

PL法の対象とならない、保険をかける必要がないと判断した場合でも、何らかの既知のリスクがある場合、リスクを明記して販売するように心がけましょう。たとえば、子ども服を作って販売する場合、フードがついていると事故につながる可能性があります。フードを禁止する幼稚園や保育園、フードのついた洋服を敬遠する保護者も少なくなく、リスクを考慮することはお客様に評価されるものを作ることにもつながります。

また、新型コロナウイルス感染症の流行によって、2020年3月には政府のマスクの転売規制を受けて、手作りマスクの出品も禁止するサービスが出てきました。販売する作品や原材料については、どのような規制があるのか、自身のビジネスはもちろん、お客様の安全や社会のためにも最新の情報を把握するようにしてください。

参考:マスク転売規制についてのQ&A(経済産業省)

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適切な対価を受け取る

ハンドメイドの作品を販売するというと、「買ってもらえるだけでありがたい」「あくまで趣味の延長だから」という気持ちから必要以上に低価格をつけてしまうことが少なくありません。ただ、副業や本業でハンドメイドの作品を売る場合、ビジネスとして利益をあげる必要があります。謙遜する気持ちを抑えて、原材料にいくらかかるのか、制作にかかる時間やその他の事務作業などからどのくらいの人件費を計上するのかをもとに単価を決める必要があります。

また、競合との価格比較も欠かせません。いくら適正な価格を設定しても圧倒的に低価格で提供する競合作家がいる場合は、参入に適していない分野なのかもしれません。ビジネスとしてハンドメイド作品を販売する場合は、ビジネスとしてどのような商品を作ったら、いくらにしたら売れるのか冷静に考えるようにしましょう。

▼価格設定については以下の記事もご確認ください。
ネットショップで最適な販売価格を決めるには?

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著作権の侵害に気をつける

作品づくりのアイデア収集として、他者のデザインやロゴを参考にすることもあるかもしれません。ただし、著作物を著作権者の許諾なく使用するのは、著作権の侵害になるので注意が必要です。

文化庁のページによれば、著作権の侵害には10年以下の懲役、または1,000万円の罰金が罰則として定められています。

また、著作権フリーのものでも「商用利用不可」と記載があれば、収益目的で利用することはできません。詳しくは公益社団法人著作権情報センターの「著作物を使うと?」を参考にしてください。

補足までに、著作権法の保護対象になる著作物は「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」といった要件を満たす必要があります。ハンドメイド作品に関してはこの要件を欠く「実用品」とみなされる場合が多いため、著作権による保護の対象外とされることがあります。日本弁理士会が公開しているガイドラインでは、以下のように記述されています。

著作権法により保護される著作物は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法第 2 条第 1 項 第 1 号)である。工業的に量産される実用品のデザインについては、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」という要件を欠くため、著作権による保護の対象外となり、意匠法によって保護するのが原則である。

参考:ー著作物ー 実用品のデザインの保護(日本弁理士会)

ハンドメイドの作品の販売を始めるには

たとえ副業でも、収入の一部分だとしても、ハンドメイド作品の販売も立派な事業です。税務署や市区町村役場で必要な手続きを確認しておきましょう。

開業届を提出する

所得税法229条「開業等の届出」では、事業を開始した日から1カ月以内に税務署長に開業・廃業等届出書(開業届)を出さなければならないとされています。いくら小さく事業を始める場合でも、開業届を出しておくに越したことはないでしょう。開業届の提出は無料です。

参考:所得税法(e-Gov)

確定申告をする

開業届と合わせて忘れてはいけないのが確定申告です。主婦・主夫の起業、副業、独立した個人事業など、状況によって異なりますが、所得が一定額を超えると確定申告をする必要があります。不安な場合は、税務署や税理士事務所に相談してみるとよいでしょう。確定申告が必要とわかった場合は、必ず期間内に確定申告をするようにしてください。

制作は得意だけれど会計は苦手という人も心配はありません。今は便利で使いやすい会計ソフトが数多く提供されています。自分だけで確定申告をするのは不安だという人は、税務署の相談会に参加する、税理士事務所に相談するなど専門家の力を借りるのも一つの手です。確定申告にあたって、特に所得が多い人は、白色申告ではなく、控除額の多い青色申告を検討してみてもよいでしょう。

たとえ事業が赤字や、申告する必要のない範囲の所得であっても、売り上げを記録し、領収書や請求書といった資料はきちんと保管することをお勧めします。これは、税務上の書類の保存期間が原則7年であるためです。

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ハンドメイド作品の販売におすすめなサイト5選

ここでは簡単、手軽にハンドメイド作品の販売をはじめられるサイトを五つ紹介します。

Square オンラインビジネス

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▼サービスの概要
サイトの種類:ネットショップ
販売手数料:3.6%(決済手数料のみ)
振込手数料:なし
月額プラン:無料・有料プランあり

決済サービスのSquareが提供するネットショップ作成機能、Square オンラインビジネス。サイト作成の知識がなくても、作品の情報を入力したり、画像をアップロードしたりするだけで簡単に販売をはじめることができます。国内はもちろんのこと、海外への発送も可能です。

無料プランを選択すれば、決済手数料だけで販売をはじめられるので、各種手数料をなるべく抑えたい人にはおすすめです。売上額は最短翌営業日に入金されるので、資金繰りも安心です。

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Creema(クリーマ)

▼サービスの概要
サイトの種類:ハンドメイド販売サイト
販売手数料:作品・素材の場合は11%、食品の場合は15.4%
振込手数料:30,000円未満の場合は176円、30,000円以上の場合は275円(PayPay銀行の場合は、いずれも55円)
月額プラン:なし

「クリエイターズ・ニューマーケット(創作者たちの新たな場所)」を語源とするCreemaは、月間利用者が1,000万人を超えるハンドメイド販売サイトです。ハンドメイド作品の制作を本業とするプロの作家や企業も多く出品しており、固定費なしに手軽に出品できる点が特徴的です。

また、オンライン販売に限らず、対面販売ができるクラフトマーケットを年に一回、独自で開催しています。

minne(ミンネ)

▼サービスの概要
サイトの種類:ハンドメイド販売サイト
販売手数料:10.56%
振込手数料:一律220円/振込ごと
月額プラン:なし

GMOペパボ株式会社が運営するハンドメイド販売サイト、minne(ミンネ)。登録作家は2019年時点で50万人を突破しており、いまや掲載されている商品点数は1,000万点を超えるそうです。購入者は20代から40代の女性が中心で、海外発送にも対応しています。前述のCreemaにはプロの作家も多いなか、minneは制作をはじめたばかりの作家も少なくないようです。

参考:国内最大のハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)」登録作家数が50万人を突破(GMOペパボ株式会社、2019年1月28日)

メルカリ

▼サービスの概要
サイトの種類:フリマアプリ
販売手数料:10%
振込手数料:一律200円
月額プラン:なし

月間利用者数が2021年9月時点で2,000万人を突破したメルカリは、フリマアプリの代表格といえるかもしれません。売りたい商品をスマートフォンで撮影、商品情報を入力、出品の三ステップで商品を販売できる簡単さがサービスの大きな魅力です。中古商品を販売する利用者が多いものの、ハンドメイド商品を出品しているユーザーも一定数いるようです。

Etsy(エッツィー)

▼サービスの概要
サイトの種類:ネットショップ
出品手数料:0.20ドル/商品ごと
取引手数料:5%/取引ごと
振込手数料:PayPalの振込手数料に基づく
月額プラン:無料・有料プランあり

世界最大規模を誇る米国生まれのEtsy(エッツィー)は、ハンドメイド販売サイトの先駆けともいえるかもしれません。主に海外向けの販売になるので、海外の客層を狙っていきたい場合にはおすすめです。ただしサイト上には7,200万点以上もの商品が掲載されているので、競争は激しいといえるでしょう。

オークションやフリマアプリなどインターネット上のサービスが普及する中で、ハンドメイド作品を販売しやすくなりましたが、気をつけなければならない点、販売を始めるにあたって必要な届け出などは依然存在します。せっかく時間をかけて丁寧に作ったハンドメイド作品の販売を始めるのですから、本記事を参考に、リスクや不安は最小限に、ビジネスを成長させてください。

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執筆は2020年3月25日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash