ディープラーニングとは?AIや機械学習との違い、スモールビジネスでの活用法を解説

AIや機械学習、ディープラーニングという言葉を、ニュースなどでよく耳にするようになりました。しかし、それぞれの概要や違い、ビジネスにどのように役立つのかなどについては、漠然としか理解していない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ディープラーニングの概要、AIや機械学習との違い、ディープラーニングの学習方法や注目される理由、スモールビジネスでの活用法や課題などを解説します。

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ディープラーニングとは

ディープラーニングについて理解を深めるために、まずAIや機械学習との違いから解説します。

AIや機械学習との違い

実は、AI(人工知能)については確立された定義はありません。たとえば、総務省「平成28年度情報通信白書」においても、国内の主な研究者13人によるAIの定義はばらばらで一致していません。

そのため、ここでは上記の白書にならって、AIを「知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と説明します。

機械学習は、AIについての研究分野の一つで、AIがデータを分析して、データ間の法則性を見つけ出す手法です。ただし、法則性を見つけるための着目点を「特徴量」(データの特徴を数値化したもの)として人間が設定する必要があります。

ディープラーニング(深層学習)は機械学習の手法の一つで、人間が特徴量を設定しなくても、AIがデータの分析によって自ら法則性を見つけ出す点が画期的なため、大きく注目されるようになりました。

AI(Artificial Inelligence)という言葉が初めて使われたのは、1956年の「ダートマス会議」と呼ばれる研究発表会であり、歴史は古いです。機械学習は1980年代に生まれました。2010年代にディープラーニングがブレイクスルーを起こし、現在は第3次AIブームが起きています。

参考:平成28年版 情報通信白書(総務省)

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ディープラーニングの学習方法

ディープラーニングは、ニューラルネットワークという手法を拡張したものです。

ニューラルネットワークは情報処理システムの一つです。人間の脳内にはニューロンという神経細胞がありますが、その働きの一つに、ほかの神経細胞から信号を受け取ったとき、ある閾値(いきち)を超えた場合、次の神経細胞に信号を伝えるという仕組みがあります。ニューラルネットワークは、多数のニューロンをつなげた仕組みをモデルにした分析手法です。

ニューラルネットワークは、次の3層から構成されています。
・入力層
・中間層(隠れ層)
・出力層

中間層では、入力層から受け取ったデータを重みづけして変換します。重みづけとは、項目ごとに重要度を数値で表して集計し、総合的な重要度の評価を行うことです。出力層では、中間層から受け取ったデータを、教師データ(学習における正解)と照合して重みづけを調整後に出力します。

ディープラーニングは、ニューラルネットワークの中間層を2層以上に多層化したもので、中間層が多いほど、より正解に近い出力を行うことができます。

参考:人工知能と機械学習(総務省)

注目される理由

ディープラーニングが注目される理由は、人間が手を加えなくても、AIが自らデータ間の法則性を導き出せるためです。

従来の機械学習では、AIが猫の画像を猫と認識するためには、猫の特徴を教える必要がありました。ディープラーニングでは、上記の中間層の働きによって、教えなくても大量の猫画像から猫の特徴を導き出して認識することが可能です。

人間の判断に依存しないため、データが増えれば増えるほど法則性を見つける精度が上がります。既に、画像認識などの特定領域においては、人間を凌駕する結果も出ています。

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スモールビジネスにおける、ディープラーニングの活用法

ディープラーニングの活用には資金が必要という印象を受けるかもしれませんが、実際にはスモールビジネスにおいても活用可能です。例として、ベンチャー企業での活用事例を紹介します。

スモールビジネスにおける、ディープラーニングの活用事例

大学の研究室から誕生したあるベンチャー企業では、ポイ捨てされたゴミの分布や状況の深刻度などを、AIによる画像認識によって測定できるアプリを開発しました。

アプリで路上の動画を撮影すると、独自の画像認識システムにより、動画に映っているゴミの数や種類を解析します。画像認識をディープラーニングなどで処理することにより、作業時間の短縮や効率化を図っています。

小規模な企業では開発資金に悩むところも多いですが、この企業はクラウドファンディングを活用して100万円余りを調達しました。自治体や企業などによる環境調査にもアプリが使用されるなど、広く活用されています。

参考:街のゴミをAIで“見える化”するベンチャー(2018年8月22日、ニュースイッチ)

画像認識の活用事例

ディープラーニングは、車の自動運転、人工衛星からの物体検出、がん細胞の検出、工場などでの危険領域内への侵入者検出、自動音声翻訳などに活用されています。得意分野の一つに画像認識があり、次のような活用事例があります。

・幼稚園や学校などで撮影される大量の写真の中から、我が子の写真のみ抽出するサービス
・最大5万人の顔データを取り込み、ある個人を一瞬で特定できるカメラ。来店した容疑者や得意客の割り出しなど
・サイトにタイヤの写真をアップロードすると、タイヤの傷やひび割れの有無、溝の深さなどの摩耗を、レベル・種類ごとに分類するサービス

ディープラーニングの導入方法

スモールビジネスにディープラーニングを導入したい場合、いくつかの方法があります。

ITに詳しくないけれど試験的に導入したい場合には、あらかじめAIが備えつけられているソリューションを購入したり、AIベンダーが提供しているAPIを利用して独自のAIサービスを作成したりといった方法があります。

より本格的な導入を検討する場合は、AIのアルゴリズムについて高い知見をもつ人材の採用や、ディープラーニングに必要なツール、学習用に高品質かつ大量のデータの準備などが必要です。

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ディープラーニングにおける課題

ディープラーニングをビジネスに活用するうえでの課題には、最も大きなものとして「ブラックボックス問題」があります。

これは、ディープラーニングでは、データ間の法則性を導き出すための特徴量をAIが作成するため、なぜその答えが導き出されたのか、人間側には根拠が分からない点です。そうした課題を克服するため、今後は答えを出した根拠を説明できるようなAIの開発が進むと予想されています。

また、ディープラーニングには学習用に大量のデータが必要な点も、スモールビジネスにおいては課題といえるでしょう。

ディープラーニングは、AIに関する研究分野の一種である「機械学習」の手法の一つです。データ間の法則性をAI自ら見つけることができるため、特定の領域では人間の能力を上回るアウトプットも可能です。

本格的な導入には、AIのアルゴリズムに精通する人材の採用や、大量のデータやツールの準備が必要です。そのため、導入を検討している場合は、まずはAIベンダーの提供サービス活用などの試験的な導入から始めて、成果を見つつ段階的に導入してみてはいかがでしょうか。

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執筆は2019年7月19日時点の情報を参照しています。
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