カゴ落ち(カート放棄)とは?機会損失対策でECサイトの売り上げをアップする方法

カゴ落ちとは、ネットショップを利用するお客様が商品を買い物カゴ(ショッピングカート)に入れたまま、途中でネットショップから離脱してしまうことを指します。

カゴ落ちは、カート放棄、カート離脱などともいわれ、カゴ落ちした人の割合を「カゴ落ち率」と呼びます。このカゴ落ち率が高いということは、「何らかの理由があって結果的には買わなかった人が多かった」ことを意味しています。

カゴ落ち率は約7割にものぼるという調査結果もあります。おおよそ7割ものお客様が商品を買い物カゴに入れながら購入にいたらないのは、何が原因なのでしょうか。カゴの中に残された商品は当然売り上げにつながらないので、お店にとっては大きな機会損失となります。

参考:46 Cart Abandonment Rate Statistics(Baymard Institute)

カゴ落ちが起こる原因にはよく知られているものもあり、十分対策をとることができます。この記事ではカゴ落ちが起こる原因とカゴ落ち対策、メールでのフォローアップ方法を説明します。

目次



カゴ落ちが起こる原因

せっかく商品を購入しようと買い物カゴに入れたのに、購入に至らないのはなぜなのでしょうか。ここでは、具体的に、カゴ落ちが起こってしまう原因を考えていきましょう。
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予期せぬ追加コストがあった

代引き手数料や送料などの手数料について、商品とは別ページで説明しているネットショップもあるでしょう。しかしながら、すべてのお客様がそのページを確認しているとは限りません。お客様の中には、決済画面を見てはじめて手数料や送料がかかることを知り、「追加コストがかかるならいらない」と、購入を諦めてしまう人もいるかもしれません。

支払い総額が決済の段階までわからないということに、買い物の途中で不安を感じ、離脱してしまうお客様も少なからずいることでしょう。デンマークの企業Baymard Instituteが行った調査でも、カゴ落ちの理由として「追加コストが高かったから」を選んだ人が48%と、最も多かったという結果が出ています。

参考:46 Cart Abandonment Rate Statistics(Baymard Institute)

配送時間がかかる

商品によっては配送に時間のかかるものもあるかもしれません。しかし、最近では「当日配送」「お急ぎ便」などの配送スピードを売りにしているサービスも多数あります。そのため、3日程度の配送時間であってもお客様によっては「そんなに時間がかかるならいらない」と購入をやめてしまう人もいるでしょう。

返品ルールが親切ではない

返品ルールが厳しすぎる場合も、カゴ落ちの原因となってしまいます。ネットショップでは実物を見たり、手に取って試したりすることができません。着てみたらサイズが合わなかった、実際の色が思っていたような色ではなかったなど、実店舗での買い物より返品の可能性は高くなります。そうした場合に、返品が一切不可や理由に関わらず返品時の送料はお客様負担など、返品ルールをお客様が不親切だと感じると、購入に慎重となるでしょう。

購入に会員登録が必要だった

お客様によっては、個人情報の入力が心理的なバリアになることがあります。また、「記入が面倒」というお客様もいることでしょう。そうしたお客様は会員登録が必須だと知ると、カゴ落ちをしてしまうでしょう。

購入プロセスが長かった

お客様がネットショップを利用する目的は、商品を購入することです。会員登録が必須だったり、メールマガジンの購読を希望するか聞かれたりなど、商品購入までのプロセスが思ったよりも長くかかると、途中で購入を諦めてしまう人もいるでしょう。

決済情報の入力が不安だった

ネットショップの信頼性も、カゴ落ちの原因になります。ネットショップでは、配送に必要な住所や氏名などの情報のほかに、決済に必要なクレジットカード情報なども入力することになります。どんなに欲しい商品だったとしても、不安を覚えるようなショップには個人情報を預けたくないものです。ネットショップのデザインが新しいものではなかったり、リンク切れが頻繁にあったりすると、お客様は不安に思うでしょう。また、多くのネットショップは安全な決済サービスを導入していますが、決済の仕組みに詳しくないお客様は、明記をしていなければネットショップそのものに決済情報がいくものと思ってしまうかもしれません。

希望の決済方法がなかった

JCBが2021年に行った調査によると、日本人の成人男女のクレジットカードの保有率は86%で、さらに35%の人がオンラインショッピングにクレジットカードを利用していると回答しています。カード保有率は高いものの、この数字からは、圧倒的に多くの人がオンラインショッピングにクレジットカードを利用しているとはいえません。お客様の中には、代金引換などの現金決済や、振り込み用紙などによる金融機関からの支払いを好む人もいることでしょう。そうしたお客様にとっては、決済方法がクレジットカードのみである場合、買い物を諦めざるをえず、結果的にカゴ落ちにつながってしまいます。

参考:クレジットカードに関する総合調査 2021年度版(JCB)

決済処理に失敗した

クレジットカードをはじめとする決済処理でエラーが起きると、お客様は、購入プロセスはどこまで進んだのか、カード情報が漏れてしまっていないかと不安に思うでしょう。このような不安を抱えたまま買い物を続けるのは容易ではありません。決済情報を再入力するのは手間がかかるだけでなく、再度失敗する不安からも、カゴ落ちにつながる可能性が高くなります。
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エラーが起きる、表示が遅い

買い物中にサイト内でエラーが起こると、「使い勝手が悪い」という理由でサイトを離れてしまうお客様もいます。また、サイトの読み込みに時間がかかると、それより先に進めないと判断されてしまうこともあるかもしれません。Googleが2017年に行った調査では、サイトの表示時間が1秒から3秒になるだけで、32%の人が離脱してしまうという結果も出ています。

参考:Google/SOASTA Research, 2017

セキュリティーに不安がある

近年では、一見本物と変わらない精巧なフィッシングサイトを使った詐欺が起きているなど、消費者を狙う手口も巧妙化しています。実際、クレジットカードの番号盗用による被害額は、2021年だけで311億円以上にのぼります。お客様の中には、セキュリティー面により敏感になっている人もいるかもしれません。また、Google Chromeなどの主要なウェブブラウザでは、サイト全体の通信を暗号化させる「常時SSL化」に対応していないサイトに対して警告が表示されるようになっています。このような警告を見て、買い物をやめてしまうお客様もいるかもしれません。

参考:クレジットカード不正利用被害の発生状況(一般社団法人日本クレジット協会)

閲覧だけで買う気がなかった

お客様の中には、購入意欲を失ったことによってカゴ落ちをしたのではなく、そもそも閲覧するだけで買う気がなかったという人もいるかもしれません。また、「後でゆっくり買おう」と思ってカゴに入れたものの、忘れてしまっているというお客様もいるでしょう。。

カゴ落ちに有効な10の対策

ここまで、カゴ落ちの原因について紹介してきました。次に、カゴ落ちを防ぐためにできる、10の対策について解説します。

1.手数料や配送期間を明示する

ネットショップでの買い物には送料がつきものだとはわかっていても、決済ページにたどり着いて初めて送料がわかると、支払い金額が急に高くなったと感じるかもしれません。こうしたネガティブな驚きをなくすシンプルな方法は、すべてのお客様に対して前もってコストを明示しておくことです。税込金額を表示する、「3,000円以下の注文には手数料450円がかかる」「1万円以上の購入で送料無料」といった情報を分かりやすい位置に配置するなど、ネットショップのデザインと仕組みに工夫が必要です。

また、配送期間についても同様です。決済ページに「配送予定日が二週間後」と機械的に表示されるのと、予め商品のページに「人気商品のため発送に最大二週間お時間をいただくことがあります」と表示されるのとではどちらが不安なく買い物をできるでしょう。前者では、お客様が驚いてネットショップから離れてしまうかもしれません。後者であれば、お客様は最初から納得して買い物を楽しめるでしょう。配送についてネットショップ内でページを割いて記載している場合でも、お客様にわかりやすいように、商品ページにも配送予定を明記しておくとよいでしょう。

2.常にカゴの中の商品点数を表示する

お客様の中には、買うのを忘れないように一時的に商品をカゴに入れておくという人もいます。しかし、実店舗での買い物と違い、目に触れないカゴの中身は忘れられてしまいがちです。この問題の解消には、カゴの中に商品が入っていることを知らせることが必要です。トップページなどにわかりやすくカゴのアイコンを表示し、カゴの中に入っている商品点数を表示することで、「後で買う」と考えているお客様のカゴ落ち防止が期待できます。

3.購入プロセスをシンプルにする

買い物カゴに商品を入れても、会員登録の必要があったり、メルマガへの登録の有無を聞かれたりすると、お客様は購入プロセスを複雑だと感じてしまいます。このようなカゴ落ちに対しては、購入プロセスをシンプルにすることで対応します。「会員登録して買う」と「登録なしで買う」と、購入方法を選択できるようにして、初回購入のハードルを下げてみましょう。その商品やショップが魅力的で今後も利用したいとお客様に思ってもらえれば、いずれ会員登録につながるかもしれません。また、ネットショップの運営者自身が新規顧客として購入プロセスを体験してみてもいいでしょう。ネットショップの抱える問題点が見えてくるかもしれません。

4.決済方法を増やす

多くのネットショップでは、クレジットカード決済を採用しています。一方で、クレジットカード情報を入力することに抵抗感を覚えるお客様も少なからずいます。銀行口座への振り込み、代引き、コンビニ払いなどの決済方法を増やすことも一つの解決策です。

5.返品ルールを柔軟にしてみる

賞味期限のある食品や、下着などの直接肌に触れるようなものであれば、お客様も「返品不可」には納得してくれるでしょう。しかし、商品によっては、未開封・未使用の場合は返品交換に応じるなど、可能な範囲で返品ルールを柔軟にしてみるのも一つの手です。

6.「カゴ落ちメール」でフォローをする

家事が忙しくて買い物を中断してしまった、通勤の乗り換えで買い物が途中になってしまったなど、特にネガティブな理由がなくてもカゴ落ちしてしまうことがあります。そのようなお客様に対しては、購入途中の商品があることを通知するメールを配信してみましょう。ネットショップのシステムによっては、カゴ落ちを通知するメールが自動送信されます。自動送信なので、ネットショップ運営者は、業務の負担を増やすことなく、カゴ落ちしたお客様にアプローチすることができます。

7.第三者機関による認証を受ける

住所やクレジットカード番号など、お客様の個人情報を預かる上で、セキュリティーは最重要項目といえるでしょう。個人情報の取り扱いについてのプライバシーポリシーの掲載、クレジットカードの情報の非保持化などの対策をとる必要があるでしょう。また、手間やコストがかかってしまうものの、プライバシーマークやTRUSTeマーク(個人情報保護認証)を取得するという方法もあります。カゴ落ちによる機会損失額を試算した上で、検討してみてもいいかもしれません。

8.簡単に問い合わせできるようにする

注文方法や商品内容など、十分な情報を載せたつもりでも、お客様が疑問に思う項目があるかもしれません。問い合わせメールフォームやチャットなど問い合わせ窓口を設け、お客様が気軽に問い合わせができるようにしましょう。疑問が解決すれば、お客様は次の購入プロセスに進んでくれるかもしれません。

9.セール、送料無料をオファーする

期間限定でセールや送料無料をお客様にオファーすることで、「この期間内に買えばお得になる」という心理が働き、購入まで進んでくれる確率が高まります。さらに、送料無料はお客様にとっての「予期せぬコスト」をなくすことにもつながるので、カゴ落ち防止に効果的です。

10.希少性・人気を打ち出す

閲覧だけのつもりでネットショップを訪問したお客様に対しては、「セール価格はあと8時間で終了」「今日20人がこの商品を買いました」「今この商品を見ている人は3人います」といった情報を提供するのも有効です。また、「限定品」「期間限定」「人気のため、在庫数わずか」といった文言も、「今買わなくては」という気持ちを高めることに役立つでしょう。
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カゴ落ちメールの注意点と送り方

上述のカゴ落ち対策の一つとして紹介した「カゴ落ちメール」について、書き方のコツや注意点を解説します。

頻度に配慮する

カゴ落ちメールは2回、多くても3回程度を目安にしましょう。ショップ側は、親切心で「買い物が途中になっている」と知らせようとしていても、カゴ落ちメールが頻繁に届くと、お客様は「商品を売りつけようとしている」と感じてしまうかもしれません。通知の多いネットショップとしてうるさいと感じられてしまうと、最悪の場合、メールをブロックされてしまうことも考えられます。

文面に配慮する

お客様に商品を売りつけようとしているという印象を与えないためにも、メールのタイトルや文面にも配慮が必要です。最初のカゴ落ちメールのタイトルには「お買い物が途中になっているようです」といったわかりやすいものがよいでしょう。そのメールにお客様が反応しなかった場合は、数日後に購入し忘れを指摘するのではなく、「おすすめの商品」といった形で遠回しに買い物を促しましょう。それでも反応がなかった場合は、カゴ落ちになっている商品がセール価格になったタイミングで再来店を促すのもいいでしょう。

カゴ落ちを減らせれば、売上アップにつながります。「カゴ落ち率の高さに悩んでいる」「これからネットショップを開設しようと考えている」という事業者なら、カゴ落ち防止に有効な機能がついているネットショップ作成サービスがおすすめです。

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執筆は2020年4月20日時点の情報を参照しています。2022年5月23日に一部情報を更新しています。
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