ピープルアナリティクスとは?導入で得られるメリットと活用法

Square (スクエア), ブログ編集者

「ピープルアナリティクス」とは、人材や組織に関するデータを集めて分析し、人的資源の活用に役立てるための方法です。世界的な大企業でも取り組みが進んでいることから、耳にしたことがある経営者もいるのではないでしょうか。

労働力人口の減少に伴い、従業員一人あたりの生産性をいかに高めることができるかどうかが、企業としての生き残りにも大きく関わってきます。中小企業こそ、ピープルアナリティクスの考え方を導入して、組織のあり方を考え直す必要があるかもしれません。

今回は、ピープルアナリティクスの基本的な考え方や導入メリット、活用方法について解説します。これを機に、ピープルアナリティクスについて考えてみてはいかがでしょうか。

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ピープルアナリティクスとは

ピープルアナリティクスは、Googleの人事部で生まれたといわれる考え方です。人材や組織に関するデータを集めて分析し、成果を向上させるための手法のことを指します。人事部門に関するテクノロジーなので、「HRテクノロジー」とも呼ばれています。

ピープルアナリティクスで用いられるデータには、人事部が把握するさまざまなデータが該当します。性別や年齢といった個人情報から、勤怠情報、面接結果、評価結果などの人事にまつわる情報、場合によってはウェアラブルデータを用いた行動データまで活用することもあります。

人事の決定を行うときに、データよりも主観が重視される場面を経験したことのある経営者もいるのではないでしょうか。組織も「人」の集まりなので、感情や直感を完全に無くすことはできませんが、事実を基に分析することで、より効率的に、平等な意思決定を行うことができると考えられます。

ピープルアナリティクスで得られる効果

ピープルアナリティクスを導入するメリットには以下の点があります。

課題の発見
データを分析していくことで、直感や経験では気づくことのできなかった課題が見つかります。また、複数の課題がある場合も、各課題の程度まで分析することで、優先順位が明確になります。

解決策の立案
課題と、その原因となっているデータの関連性を深く見ていくことで、何が原因で起こっているのかが見えてきます。もちろん、原因が一つだけということはありませんが、データが客観的な事実を示してくれるので、ゼロから考えるよりも解決策に早く近づくことができるでしょう。

人事判断の公正化
これまで人事関係の判断においては、担当者の直感や経験を用いて意思決定を行うことも少なくありませんでした。もちろん、ベテラン社員の勘や経験は当たることも多いでしょう。しかし、意思決定の根幹が属人化してしまうリスクが発生し、人事担当者が変わると判断軸もブレてしまいかねません。データ分析の結果を用いることで、これまで勘や経験で判断していた部分が定量化されるので、公正に、誰にとっても分かりやすい決定ができるようになります。

採用活動の効率化
人事の大きな業務でもある「採用」分野でも、生産性向上に寄与します。自社に求める人材についてのデータを分析した上で、応募者の属性や選考時のデータを照らし合わせることで、どの人物が自社で活躍できる人材なのかを客観的に、かつスピーディに判断することができます。

効率的な人材育成
従業員の育成やキャリアプランの形成、配置の転換、モチベーションアップなどに生かすことができます。たとえば、従業員の行動データやモチベーションに関するアンケート結果を用いて、適材適所で能力が発揮できるような人事異動を考えることができます。

また、採用活用と同じように活躍している人材のデータを分析してそれをモデルとすることで、若手社員の中から将来的に活躍できそうな人材を発掘して育てていくことができます。

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ピープルアナリティクスの事例

日本国内では、日立製作所の人事部門が新卒採用にピープルアナリティクスを活用しています。これまで採用基準が不明確で、採用担当者の主観や経験にある程度左右されていたところから、社内の人材データから「優秀」だといわれている人材の特徴を抽出し分析することで、今後の成長に必要な人材の要件や採用基準が定義され、内定者のタイプに大きな変化が現れたそうです。

参考:日本企業のピープルアナリティクス 日立製作所の新卒採用改革 (2017年2月17日、ダイヤモンド・オンライン)

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スモールビジネスでピープルアナリティクスを活用するには

メリットや効果があることが分かっても、実際に導入するのは難しい……と感じる経営者もいるかもしれません。ここでは、企業規模に関わらず全ての企業に関係する内容として「採用」に関するピープルアナリティクスを例に導入プロセスを考えてみましょう。

1, データを集める
採用に関するデータとしては、
・求人の開始から採用までの期間
・一次面接から内定までの期間
・各ステップの選考通過率
・既存従業員の前職や採用経路
・内定承諾率
・採用コスト
・各採用媒体からの採用率
・入社後の退職率
・入社後の評価
などが挙げられます。

2, 分析する
集めたデータを分析していきます。勘や経験は一度忘れて、データだけを見ていくようにすると、これまで気づかなかった点が見えてきます。自社だけでは難しい場合は、コンサルタントや、HRテクノロジー向けサービスの導入も検討するといいかもしれません。

分析の結果、内定承諾率と採用媒体の関係が明らかになったり、採用選考の期間の長さと退職率や評価に因果関係が見つかったりなど、なにか発見があるはずです。

3, 分析結果を基に仮説を立て、実行する

課題点が見えてきたら、仮説を立てて課題解決に向けて実行します。たとえば、特定のルートからの採用者について、離職率が高いという傾向が見えてくるかもしれません。その場合は、採用ルートの見直しを行います。

実行した後はしっかり効果検証し、その反省を次回に生かします。このプロセスを繰り返すことで、より精度が高まっていきます。

また、Googleではピープルアナリティクスのやり方やツールをオンラインで公開しています。ピープルアナリティクスに関するセミナーや、養成講座も開催されているので、これらを利用して、社内にピープルアナリティクスの専門的知見を導入しましょう。

データの力を活用することは、勘や経験に頼らずに客観的に課題の発見・解決につながる可能性を秘めています。人事の分野に新しい技術・考え方を取り入れることは、人的資源の有効活用にもつながり、ひいては他社との競争優位性を獲得することになります。

人事分野の改善としてピープルアナリティクスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆は2019年8月9日時点の情報を参照しています。
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