事業者が知っておくべき「追徴課税」の基礎知識

Square (スクエア), ブログ編集者

事業主であれば、「追徴課税」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

「罰金のようなイメージはあるけど、詳しいことはよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。事業に大きな影響を及ぼすためこともあるため、今回は、個人事業主や中小企業の経営者が知っておきたい追徴課税の知識について、わかりやすく解説します。

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追徴課税とは

簡単にいえば、税額の過少申告や無申告が発覚した場合に課される罰金です。

税務調査において、税額を実際よりも少なく申告していたり、そもそも納付されていなかったりといったことが判明する場合があります。このような場合、本来払うべき税金を払わなければなりません。さらに、「納付が遅れた」「悪質な隠蔽があった」などの事案を考慮し、行政的制裁として、10%から40%の金額が上乗せされます。

この「本来払うべき税金にプラスして払うお金」が、追徴課税です。

追徴課税が経営に与える負担は大きいものです。場合によっては、数百万から数千万規模のお金を支払わなければなりません。もし追徴課税が支払えない場合は、行政処分として財産の差し押さえが行われる可能性もあります。また、追徴課税への対応に追われ、事業が滞ることも考えられます。このような事態を避けるためにも、申告は正しく行いましょう。

ペナルティーなど発生しないのが一番ですが、万が一、という可能性も捨て切れません。そのためにも、追徴課税がどのようなものなのかを理解しておくことが大切です。次項から、追徴課税の詳細を見ていきましょう。

追徴課税の種類

追徴課税は、ケースごとに以下の4種類に分けられます。

・過少申告加算税
・無申告加算税
・不納付加算税
・重加算税

それぞれについて説明します。

過少申告加算税

申告は期限内に行なったが、納付するべき金額が少なかった場合に課されるのが「過少申告加算税」です。

金額は、新たに収めることになった税金の10%となります。ただし、新たな納付額がもともとの申告納税額、または「50万円」のどちらか多いほうを超えている場合、オーバーした部分に関しては15%となります。

具体例で考えましょう。たとえば、「本来の申告額が200万円だった」場合とします。

もし30万円を申告していた場合、
・(1)新たに払う金額=170万円
・(2)過少申告加算税=50万円×10%=5万円
・(3)過少申告加算税(超過分)=120万円×15%=18万円
(1)+(2)+(3) = 合計193万円
が支払額となります。

また、160万円を申告していた場合、
・(1)新たに払う金額=40万円
・(2)過少申告加算税=40万円×10%=4万円
1)+(2) = 合計44万円
が支払額となります。

なお、税務調査を受ける前に自分から修正申告をした場合は、過少申告加算税がかからない可能性が高くなります。ミスに気づいたら、できるだけ早く修正申告を行いましょう。

参考:No.2026 確定申告を間違えたとき(国税庁)

無申告加算税

簡単にいえば、期限内に申告をしなかった場合に課されるものです。金額は、新たに収めることになった税金の15%となります。また、50万円を超える部分については20%と多くなります。

たとえば、110万円の申告漏れがあった場合、
・払うべき税金=110万円
・無申告加算税①=50万円×15%=7万5,000円
・無申告加算税②(超過分)=60万円×20%=12万円
・合計 129万5,000円
を払う必要があります。

税務調査を受ける前に、自ら期限後申告をした場合は、5%に変わります。

なお、以下の要件をすべて満たす場合は、無申告加算税はかかりませんので、参考にしてください。

1, その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
2, 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

参考:No.2024 確定申告を忘れたとき(国税庁)

要するに、「速やかに期限後申告をしている」「税額を期限内に納付している」「過去にペナルティーを受けていない」ということです。期限後申告であっても、まったく対応しないよりは負担が軽減されるため、気づいた時点で速やかに行いましょう。

不納付加算税

これは、源泉徴収税に関わるものです。事業者は従業員の給与から源泉徴収税を天引きし、給与を払った翌月の10日までに納付するのがルールです。この期限までに納付できないと、不納付加算税が課せられます。金額は、納付すべき額の10%となります。

税務署からの通知前に納付すれば5%になるため、できるだけ速やかに対応しましょう。なお、不納付加算税が5千円未満と少額の場合は対象外となります。

重加算税

悪質な不正を行なった場合に課されるもので、追徴課税の中でもっとも内容が重いのが重加算税です。過少申告や不納付に加え、二重帳簿や必要書類の隠匿、虚偽記載や改ざんなどが行われていた場合に適用されます。

加算分の税率も高くなり、過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%となります。当たり前ですが、不正事実と見なされる行為は絶対に行わないようにしましょう。

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支払い請求後の対応方法

税務署から支払い請求が来た場合は、速やかな納付が必要です。基本は現金一括払いで、e-Tax(電子納税)による納付も可能です。支払い通知に記載の期限までに納めましょう。

どうしても一括払いが難しい場合は、まずは税務署に相談しましょう。税務調査は数年分を一気に調べるため、誤りが多ければ、それだけ追徴課税分が思いがけない金額になるかもしれません。数百万から数千万円規模になれば、一度に払うのは難しい、という事業主もいるでしょう。支払う意思があれば、税務署は猶予や分割を検討してくれる可能性があります。

なお、税務署からの指摘にどうしても納得がいかない場合は、不服を申し立てることができます。具体的には、税務所長などに対して「再調査の請求」や「審査請求」といった手段を取ることが可能です。これらは、請求書を提出し、処分の取り消しや変更を求めるものです。それでも解決しない場合は、最終的な手段として「訴訟」があります。処分に不服がある場合は、自分で支払いの判断をせず、まずは税理士に相談するのがおすすめです。

参考:No.7200 税務署長等の処分に不服があるときの不服申立手続(国税庁)

追徴課税は、個人事業主、企業経営者であれば必ず押さえておきたい知識です。もし課されることになれば、ビジネスに支障が出る可能性もあります。ただし、申告を正しく行なっていれば、必要以上に恐れるものではありません。追徴課税を課されないためにも、常に期限内の正確な申告・納税を心がけましょう。

執筆は2019年7月25日時点の情報を参照しています。
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